残り物は何の味？ ページ22
_
半日が過ぎ、昼休み。真田との約束もあるので早々に弁当を広げていると、いつもどおり仁王がやって来た。
「お、今日も図書当番か?」
「ううん、用事」
「用事？」
隣の席に座り、こちらを向きながらパンの袋を破る。またこいつはパン1つしか持ってきてないのか。
「呼び出しか?」
「呼び出しっちゃ呼び出し」
「ほぅ…愛の告白かのぅ?」
「私に対して？ないない。それに相手真田だし」
「は?真田じゃと?」
パンを口に含む手前で固まり、先程のニヤニヤした顔から打って変わってポカンとした表情に変わる。私も今朝その顔したなぁと思い出しながらご飯を口に含んでいく。
「用件はなんか言うちょったか?」
「いやなんも。ここでは話せないからって屋上に呼ばれた」
「…ほーか」
仁王は少し考えるような表情になり、パンと一緒に持ってきていた飲むヨーグルトをチューっと音を立てて吸い上げる。そこから沈黙が続いたので、私は早めのペースで弁当を食べ進めていった。だが、短時間に一気にかき込んだからかお腹が苦しい。
「仁王、私もう行く」
「…?弁当残っとるぜよ?そんな急がんでもええじゃろ」
「そんな訳にはいかないよ。長い話かもしれないし、次回に先延ばしなんて事になるのも嫌だしね」
「…プリッ」
私の言葉に謎の相槌で返され、ストローをガジガジ噛みながらそっぽを向かれた。ツーンとした表情から察するに、私の発言の何かが気に入らなかったようだ。めんどくさい。
「…はぁ、おかず食べていいよ。作ったのに勿体ないし」
「食ってええんか?」
「どーぞ。ちゃんと蓋して置いといて。じゃ」
言い逃げのように彼を見向きもせずに教室を後にする。彼がどんな表情をしていたかは見てないからわからない。少しでも機嫌が良くなってくれればなとは思うが、そうはいかないだろう。彼はめんどくさい奴だ。不機嫌アピールをするくせに、原因を教えてくれない。聞かない私も私だけど。
＊
「……」
八神が置いていった弁当のおかずをちびちびと食べ進める。箸を持っとらんかったからあいつのを借りた。俺は間接キス、なんて騒ぐアホじゃない。相手は八神だ。あいつもこんな事でギャーギャー騒ぐ奴じゃなか。
「(今頃は真田と2人で屋上デートかのぅ…笑えるぜよ)」
男が女を屋上に呼び出してする事なんて1つじゃ。あいつはわかってない。次会った時には揶揄ってやろう、なんて言おうか、おまんはあんな堅物でええんか?俺なら…俺なら?
(あ、)
(ごちそーさん)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かるぴん(プロフ) - とっても面白くて一気に読みました。続きが気になりすぎて仕方ないです！お時間のあるときに更新してくださると嬉しいです。お体に気をつけてください。 (2021年2月22日 5時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
otohsun08050054(プロフ) - とっても面白かったです。続きが気になります。更新頑張って下さいね。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪彩香 - 続きはまだですか？ (2020年2月13日 5時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 美空さん» コメントありがとうございます！夢主の事気に入っていただけて嬉しいです(´ｰ｀*)今後も楽しんでいただければ幸いです！ (2018年4月25日 7時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます！更新楽しみにしてます！夢主の性格好きです(^-^) (2018年4月24日 22時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：渡邊 | 作成日時：2018年2月6日 22時
