【ヒプマイ】我慢比べ【山田二郎】 ページ12
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私の記憶の中の彼は、すごくお兄ちゃんっ子で、ちっちゃくて、一郎と仲良い私の事をAちゃんって呼んでて、とにかく素直で可愛い子だった。
「なのに…」
「A?どうしたの?」
「んーん、なんでもない。なんでもないんだけど出来れば腰に回ってる腕を離してほしいな」
「やだ。どっか行くもん」
今の彼は17歳にして180cmという高身長、あの可愛かった顔はいつの間にかイケメンになっていて、噂によると不良になったらしい…が幸い私の前だとそんな素振りは全くない。今私を背後から抱きしめている彼の姿が何よりの証拠だ。
「どっか行かないよ。ちょっと飲み物取りに行くだけ」
「えぇ…行くじゃん」
「すぐそこじゃん。それとも二郎くん代わりに取りに行ってくれるの?」
「んーん、後で」
若干ブスッとしてる彼を見て、溜め息を零したい気持ちをグッと抑える。こうなると気が済むまで離してくれない。唯一気が済む前に解放される方法は、一郎が離れろと言う事だ。お兄ちゃん超リスペクトなこの子は一郎のお願いはなんでも聞く。だが頼みの一郎は終日仕事で出っ放しなので、二郎の気が済むのを待つしかない。長期戦になりそうだ。
「…A、シャンプー変えた?」
「え？うん、変えたよ。よくわかったね」
「わかるよ。Aの匂いだから」
背を丸めて肩の上に顎を乗せてくる。イケメンは心臓に毒だ。私の耳の近くで私の髪の匂いを嗅ぐ音が聞こえてきて、なんとなく擽ったくなって身を捩る。
「ちょっ、二郎くん…擽ったい」
「俺こっちの匂いの方が好き。もっと嗅いでたい」
「擽ったいから勘弁して」
「嫌だ」
そう言ってまた首元に顔を埋め、髪の匂いをいっぱい吸う。さっきより擽ったさが増し、ゾクゾクする感覚から逃げる為に、二郎の頭から遠ざかろうと反対方向へ首を伸ばす。だが、それがいけなかった。
ガリッ…!
「…あっ⁉」
「……っ」
鎖骨辺りに噛まれたような痛みが走る。いや、違う。実際噛まれたんだ。
「ちょ、二郎くん⁉痛い!」
「あ…ごめんなさい…。つい…」
「つい、じゃないでしょ離れなさい〜!」
「痛い痛い痛い‼ごめんなさいもうしないから離れないで‼」
二郎くんの顎を思い切り上に押し上げたら謝罪の声が聞こえてきたので、仕方なく顎から手を離した。涙目でまたさっきの位置に頭を戻す。まだこの時間は終わらないようだ。
(も〜、いつまで我慢しなきゃいけないの〜!?)
(うぅ、落ち着け…我慢だ俺…)
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渡邊(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます！対応させていただきました。 (2018年3月20日 22時) (
レス) id: 92fda3aa32 (このIDを非表示/違反報告)
、 - 二次創作ならオリジナルフラグ外して下さいね (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3317a5c9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡邊 | 作成日時：2017年7月5日 17時
