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「そう……そんなことが……」
全てを話し終わった後、侍女長様は静かにそう呟く。
諦めにも取れるような瞳の色に私を映してスッと目を細めた。
「貴方は無事？」
『はい、何も。』
「そう…ならまだ良かったわ。
食器類は全て厨房にある洗い場に持っていくわ。
それは私が持っていくから貴方は着替えなさい。」
侍女長様は一旦部屋を出ると手にメイド服を抱えて戻ってきた。
それを私に差し出し、代わりにカップを受け取ってから再び部屋を出て行った。
流石に侍女長室で着替えるわけにはいかないなと思い、扉を開ける。
『！……うわっ、と』
目の前にヌッと黒い影が現れた。
驚いて後ろに飛び退くと、躓いて身体が後ろに倒れていく。
『っ！』
咄嗟にドアノブを掴んでいた手に力を入れてドアの方に体を引っ張る。
お陰で転ぶことはなかったものの、足をどこかに擦ったみたいだ。
びっくりした…
あの影は何だったんだ？人だよね？
もしかして位のある人だったらやばいかも…
危機感に駆られて立ち上がるも目の前にもう人は居ない。
『あれ？…』
キョロキョロとあたりを見回すと窓辺に立つ人が目に入った。
近くに他に人は居ないし、多分あの人だ…
使用人や騎士の格好をしていない男性は恐らく貴族だろう。ただその出立ちはここら辺じゃ見ない格好をしていた。
金糸の髪を風に靡かせて、虚ろな瞳を窓に向けるその人は、私が近くに寄ってもまるでこちらを向こうともせず
何も写ってない瞳を静かに瞬かせていた。
『……あの…』
控えめに声をかけてもやはりこちらを見向きもしない。
他に誰も居ないわけでは無いから聞こえてないはずはないんだけど…
『お取り込み中のところ恐れ入ります！』
喉を震わせるも全く変化がない。
ここまで声を張ってもダメってことは、もしかして耳が聞こえないのでは？
失礼を承知で彼の視線の先にグッと手を伸ばす。
流石にこれで気付くでしょ
「…………」
瞬き１つ。
ただそれだけ。
今まで石のように動かなかった彼は例えるならば夢の中にでもいるかのように
ふらふらとした足取りでどこかへ向かう。
虚無。虚脱。空疎。
そんな言葉が次々と浮かんだ。
彼から香る植物ような香りが鼻に残る。
風のような、霞のような不確かなその背中がやけに脳裏に焼きついた。
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そらと。(プロフ) - 天音さん» あら、それは運命ですかね、、、また見つけてくれてありがとうございます。頑張りますね！ (2022年3月4日 7時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - まだログインもしてなかったし、お気に入り登録とか知らなかった。そんな昔にみたお話...、のはずなのにまた見つけられた...？！このお話はおもいでの作品のうちの1つです。無理せず頑張ってくださいね！！！ (2022年3月3日 0時) (レス) @page9 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 狛犬さん» フォローありがとうございます！！ (2021年11月17日 18時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
狛犬 - お手数かけてすみません！アカウント名は「狛犬 @nTdKEqUijhOcqHZ」です誤字ってたらすみません！ (2021年11月16日 18時) (レス) id: 0666cd5f1f (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 狛犬さん» うーん、、、一応私のプロフにもHPの欄にURL載せてるのでそこから飛べなかったら私がお迎えに行きますのでユーザー名など教えて頂けると嬉しいです！ (2021年11月12日 17時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そらと。
| 作成日時：2021年9月20日 3時
