Episode104 ページ5
米屋side
平穏が続くと怖い。その先に、大きな不幸が待っていそうだから。そんな風にオレが思うようになったのはいつからだっけ。あああいつがそんなこと言い出してからか……。もちろんこの時は、そんなことは微塵も思っていないわけで。
「米屋、数学の教科書ある？」
「は、お前に借りようと思ってたんだけど」
「ありえない」
「米屋が持ってないなら、俺が貸そーか？」
「えっさんきゅー助かる」
休み時間、三年生になった今年も隣のクラスになった亜桜が、言いながらオレと友達数人が溜まっている席に近づいてくる。そしてオレが教科書を持っていないと言うと、溜まっていたオレの友達の一人が、亜桜に教科書を貸すことになった。こいつは以前亜桜と同じクラスだったから、亜桜とは割と仲が良い。
「ありがとね、次返しにくる」
「おう」
そして亜桜は自分のクラスに帰った。亜桜は割とクラスメイトと仲がいい方だったと思う。だからボーダー以外の友達も結構いる。
「亜桜って何か雰囲気変わったよな」
さっき教科書を貸したやつとは別の友達がそう呟いた。こいつも確か一年の時オレと亜桜と同じクラスだった。
「ボーダー入ってからだろ」
「だな。ボーダーのあいつやばいぞほんと、わんぱく坊主みたいだから」
亜桜に教科書を貸した友達がそれに続く。
オレが返事をすると、「前に米屋が見せてくれたランク戦の動画すごかったもんな」とそいつが笑った。
ボーダーに入隊する前の亜桜は、毎日面白くないとか、モノクロの世界に見えるだとか、そんなことばかり言っていた気がする。明るく気さくに過ごしているように見えて、実は根本はもっと暗くて冷たいような……なんとなく、オレは亜桜に対してそんな印象を持っていた。ボーダーに入ってからは、生命力が漲っているような、毎日が楽しくて仕方がないような、そんな風に亜桜自身が感じていて、心の底から笑っている……と、オレは思っている。
それにしてもその心の奥の奥の奥に、薄暗い影が伴っているような印象は今も消えていないのだが。
まあ何にせよ、オレは亜桜がボーダーに入って、幸せを感じている様子を見せてくれるようになってよかったと思う。以前亜桜の親友の話を聞いたとき、入隊前のあいつがどうしてあんな風だったのかが理解できたような気がしたから。ぽっかり空いた穴が埋められなくて、あいつのいう『色のない世界』になってしまったのだろう。そしてそれがおそらく、今も亜桜の根底から消えない暗い影の正体だ。
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(；▽；)更新頑張ります！ (2019年1月21日 19時) (
レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる！！！面白すぎてヤバイです！！更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO，loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(；ω；) できる限り定期的に更新していきたいと思います！ (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ！ いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ！ これからも頑張ってください！( v^-゜)♪更新お待ちしています！ 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！！( ；∀；)がんばります！！ (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2018年10月8日 12時
