Episode138 ページ39
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私が東さんや迅さんと話していても、元親友と太刀川さんの戦闘は止まらない。太刀川さんと張り合っている元親友に心底驚いた。
『亜桜ちゃん大丈夫!?誘導できなくてごめんね……!』
「柚宇さん」
続けて、出水たちの方の誘導で手一杯だったことを、柚宇さんが謝ってくれた。柚宇さんは遠征艇にいるとはいえ、初めて見る人型ネイバーに戸惑っているだろうし、いきなり始まった戦闘に追いつかないのも仕方がないことだろう。
柚宇さんが居る遠征艇のデスクからは、私達の戦闘の光景は見えているだろうが、その音声までは訊こえていない。
今のように内部通信で意図的に会話をしようとしたときのみ、相手に声を届けることができる。更に言えば、柚宇さんはトリガーを介してこちらの光景を見ている。トリガーをオフにした場合、彼女に現場の景色を届ける方法や、連絡手段が絶たれるということだ。今は出水のいる崖の上と、太刀川さんと私がいる崖の下という二つの光景が映し出されているはずなので、同時進行で誘導するのにも限界があるだろう。
「私はサイドエフェクトがありますから、大丈夫ですよ」
いつものことだ。柚宇さんの負担を減らすために、私は自分のサイドエフェクトを使う。必要な支援がある時は声をかければいい。「うん、ごめんね」と柚宇さんが言った。
そうしている間にも、
目の前の二人の傷は増えていく、スピードは上がっていく、止まらなくなっていく。どうする、太刀川さんは私に上に行けと言った。私は行くのか?この戦闘を放ったまま、元親友との再会をこんな形で終わらせたまま、どちらかが死ぬのを待って。
「ーーっ」
ザシュッ
「ーー二人とも、まって」
そんなこと、出来ないと思ったから。私の体は勝手に飛び出して、二人の間に、両者の目の前に手のひらを突きつけるように両手を広げて割り込んだ。元親友を止めようとして伸ばした手のひらは、そいつのブレードが貫通した。太刀川さんを止めようとした腕は、私の首元で剣先が止まった弧月と平行に並んだ。二人は、驚いたように目を見開いて。元親友に突き刺された手のひらから、トリオンが漏出した。太刀川さんは私に向いていた弧月を降ろす。
「太刀川さん、上にトリオン兵の群れが近づいてきてます」
自分の前髪からぽつ、ぽつと水滴が落ちた。
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(;▽;)更新頑張ります! (2019年1月21日 19時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる!!!面白すぎてヤバイです!!更新頑張ってください!応援してます!!!! (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO,loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(;ω;) できる限り定期的に更新していきたいと思います! (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ! いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ! これからも頑張ってください!( v^-゜)♪更新お待ちしています! 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます!!( ;∀;)がんばります!! (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年10月8日 12時