Episode136 ページ37
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そうは言っても、上手な言葉など何一つ思い浮かばなかった。一体どう言う?こいつは元親友だから殺さないで下さい?二人が戦うなんて嫌だ?そんな悠長なことは言っていられない、私に戦意がなくても元親友はこっちの隊員を殺すつもりはあるし、敵であることに違いはない。本来ならこいつを始末するべきだ。だけど……
「あんた、Aより強い?」
口を開いたのは、元親友だった。
「愚問だな」
奈那の問いに、太刀川さんはそう一言。
「……」
ザアァアアーー
「………」
沈黙。
シュッ、カキィイイン!
「太刀川さんッ!」
その沈黙のあと、元親友が太刀川さんに斬りかかった。私の声も無視して二人は戦闘状態に入り、刃が交わる音が鳴り響いた。
『太刀川、亜桜、無事か?』
「おー東さん、今いいとこだ」
一方通信からは、東さんの音声が訊こえる。元親友と刃を交えながら応えるのは太刀川さんで、ただ私は黙っていることしかできなかった。
『無事なんだな。加勢は必要か?』
「いやいい、上の奴らは頼みます」
『了解』
SEで東さんたちの光景を視ると、二人の人型ネイバーとトリオン兵が数体居るのが視えた。完全に奇襲だったため、出水とA級ニ位部隊の遠征艇未経験組もその場に留まって戦闘を開始している。同時に別の光景もぼんやり視えていて、私ははあとため息をついた。……落ちつけ、私。今しなければならないことは何だ?私は何のために前戦に呼ばれた?元親友と太刀川さんが戦っているのは確かに放っておけない、だけど今の私は、ネイバーであるあいつの親友ではなく、ボーダー隊員なのだ。味方は奇襲を受け、事前に練っておいたプランとは外れた対応を強いられている。
「……まって、東さん」
『、亜桜か?』
はい、と私は告げる。
「遠征艇の方に向かってる別の敵が居ます」
人数は四、五人……全員人型。視た感じノーマルトリガーのようだが確信はない。現場から戦力を減らすリスクもあるが、この場合は一応予め決めていたとおり、加勢を派遣するのが妥当だろう。
「そんなに警戒する必要はなさそうですが、一応予定通りに対処したほうが良いかと」
『分かった。小南、お前は船の方に行ってくれ』
『了解』
私が最前線にいる理由。それはこのサイドエフェクトを使って視たり聴いたりしたことを最大限利用するため。ボーダーの役に立つため。遠征艇の方は予定通り小南だけが現場から離れ加勢に行くという形になったので、とりあえずあちらはこれでオーケー。
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(;▽;)更新頑張ります! (2019年1月21日 19時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる!!!面白すぎてヤバイです!!更新頑張ってください!応援してます!!!! (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO,loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(;ω;) できる限り定期的に更新していきたいと思います! (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ! いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ! これからも頑張ってください!( v^-゜)♪更新お待ちしています! 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます!!( ;∀;)がんばります!! (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年10月8日 12時