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Episode132 ページ33

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ああ、と納得した。先陣に私がいればその場で視えたり聴こえたりしたものがデータになって、作戦を立てる鍵になるし、敵の行動も読める。だからみんなが船に戻るにしても私は現地に残れと、そういう指示であった。遠征未経験者ではあるが、現場に残る未経験者が私一人ならば、迅さんと東さん、太刀川さん、小南の四人の遠征経験者でどうとでもサポートできるだろうし。


「勿論です。是非使ってください」


役に立つのなら。そう思えば迷いなどなかった。


「うん、助かるよ。……で戦争中だったもののこちらへの直接攻撃は無かった場合はそのまま残った人数で何とかできるだろうから、ここまでがプランAね。けど問題は直接攻撃を受けちゃう場合だ」


これは最悪の場合は死人が出るような、恐ろしい未来だ。怪我を負う可能性も跳ね上がるので、こちら側がどの程度のダメージを負うのか測りきれないところである。一番怖い未来だな、とこの時は思っていた。


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……迅悠一という人は、妙に大人びている。


それは絶対に彼のサイドエフェクトのせいで、今だって高校二年生という若さで分岐する未来に対応するためのプランを練り、それを伝えるリーダーシップを持っていて。でも彼がこうしてきたのは今の私の年よりもっと昔からだと思うと、言葉にならない感情が込上げてくる。


「ここからはプランBなんだけど、こっちも初期配置は同じ。それで余裕があれば遠征未経験組を艇に戻してあげたい。でも当然数で押されそうだったり奇襲されたりで離脱するのが困難になる場合もあるよね」


迅さんより年上の人間もこの中には当然いるわけで、けれど彼のことを若いからと侮る人などいない。会議を仕切っている忍田さんも、真剣に彼の話に耳を傾ける程だ。


「そうなったら、残念だけど未経験組も一緒に戦ってもらうことになる。けど、その場合はおれたち経験者組が全力で彼らを守ること」


ボーダーの中では、今回の遠征メンバーはA級のトップ三のチームで、最精鋭の面々である。しかしそうは言っても初めて降り立つ近界で、ましてや戦争中に遭遇したとすれば、そのいつもの実力を百パーセント出しきれるかどうかは怪しい。そう考えると遠征経験というのは有るのと無いのとで大きな差を生み出す要素であり、今回はその経験を持つ人々が五人も同乗してくれているのだと考えると、安心感を覚える反面、そこまでの人員を投入した今回の遠征の危険度を再確認してしまった。

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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(;▽;)更新頑張ります! (2019年1月21日 19時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる!!!面白すぎてヤバイです!!更新頑張ってください!応援してます!!!! (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO,loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(;ω;) できる限り定期的に更新していきたいと思います! (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ! いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ! これからも頑張ってください!( v^-゜)♪更新お待ちしています! 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます!!( ;∀;)がんばります!! (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年10月8日 12時

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