Episode117 ページ18
小南side
「……結構まあまあやるじゃない」
「これで?小南の基準高すぎ」
久々にこんなに戦った、と心底思った。結果は16ー14であたしの勝ち。まあ、当然の結果。
「最初話しかけた時はふにゃっふにゃだったのにね」
「何ふにゃふにゃって」
「声も態度もふにゃっふにゃだったわよ!」
廊下で話しかけた時の亜桜は、大人しそうで気弱そうで、正直強そうだなんて微塵も思わなかった。だけど戦ってみれば戦闘狂で口調も全然違って、あたしのことも戦っているうちに呼び捨てになった。どうやら戦う前は猫を被っていたみたいね。
「ま、遠征にこういう奴もいるならちょっと安心ね」
二位チームの奴らは頼りなかったし、とあたしは加えた。太刀川隊はかなりまあまあ実力がありそうだと考えることができたため、本部の遠征メンバーの基準は間違っていないと思って良いだろう。
「え?」
「あれ知らない?あたしも今回の遠征行くんだけど」
「はあ!?」
驚いたように亜桜が口を開けた。というか亜桜はあたしの存在すら知らなかったようだが、迅からあたしの話を訊いたこともないの?あたしは迅から亜桜の話を山程訊いているというのに。
「個人で遠征に参加するのは迅、東さん、忍田さん、であたしでしょ?」
東さんがこくりと頷いた。相変わらず亜桜は初めて知ったという顔。
「で小南、その遠征の件で城戸司令からお呼び出しだ」
「げっ。じゃ、また遠征でね亜桜」
「うん、東さんも訓練室付き合ってくれてありがとうございました」
そしてあたしと東さんは城戸司令のいる部屋へと歩き出した。亜桜は正反対に歩いて去っていく。
「正直、亜桜のこと舐めてたかも」
あたしがそう言うと東さんは「お?」と意外そうにあたしを見下ろした。「ポイント太刀川の半分って訊いてたから」とあたしは続けた。太刀川の半分の実力なら、全然あたしの方が強いと思って。だけど実力が半分という訳ではなかった。ただポイントが半分なだけで、実力は太刀川の八割……いや六割ぐらいはある。とにかく、差はあるが圧倒的大差があるわけではない。
「いや、あいつがすごいのはポイントが太刀川の半分ってところだよ」
「え?」
「亜桜は何度も太刀川とのランク戦でポイントを失ってるのに、それでも太刀川の半分のポイントをキープしてるんだぞ」
言われて、はっとした。太刀川とのあのランク戦の頻度なら、加点より減点が多くて当たり前。にもかかわらず亜桜はポイントを増やし続け、二位まで登りつめたと言うのだ。……なによ、変態じゃないあいつ。
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(;▽;)更新頑張ります! (2019年1月21日 19時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる!!!面白すぎてヤバイです!!更新頑張ってください!応援してます!!!! (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO,loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(;ω;) できる限り定期的に更新していきたいと思います! (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ! いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ! これからも頑張ってください!( v^-゜)♪更新お待ちしています! 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます!!( ;∀;)がんばります!! (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年10月8日 12時