Episode072 ブラックトリガー ページ23
Aside
ビュォオオ、と風が吹いた。目を閉じると数人敵が視えて、とりあえずそいつらをまとめてメテオラでふっ飛ばした。完全に奇襲で、そいつらは即ベイルアウト。
「わー完全に乱戦だなこりゃ」
あちこちで敵同士が交戦してるのが視えて、私はため息をついた。敵は攻撃手か万能手が多く、稀に中距離も混ざっていると言ったところだろうか。
今日は、風刃争奪戦だ。
だから敵は隊ではなく個人、参加者が入り乱れた乱戦だ。私は少し離れたところで様子をうかがう。まず第一に探さなければならないのは、迅さんだ。参加者の中で一番強いのは間違いなくあの人だし、近くに転送されていたなら移動しないとまずいことになる。
『悪いな、おれ実力派エリートなんだわ』
「いた」
サイドエフェクトで探すとその人はいて、今は彼を含めた四人で戦っているところだった。私からは遠く、今は無視していい。
「死ね!」
「わっ」
私が迅さんに気をとられていると、背後から奇襲に遭う。咄嗟にそれを避けて、私は腰の弧月に手をかけた。
「太刀川隊の亜桜だな、ここで始末させてもらう」
敵も弧月使いで、剣先をこちらに向けながら近づいてくる。
「まずは雑魚掃除って感じかな」
グラスホッパーを右手に出して、私は勢い良く地面を踏んだ。
.
トリオン体は疲れないはずなのに、心拍も呼吸も上がっているような感覚に襲われる。実際そんなことはあり得ないのだけれど。それくらいタフな戦場。何人殺ったのだろう。いつも一対一というわけではなく大人数での乱戦もあったし、流石に無傷というわけにはいかない。傷口からトリオンが漏れ出していた。
「どうやら残ったのはおれたちだけみたいだ、Aちゃん」
トン、トンと足音がして、私は顔を上げた。その人はスコーピオンを右手に持って、攻撃を仕掛けるでも隠れるでもなく私の目の前まで歩いてきた。
「こっからが本番ですよね、迅さん」
憧れの先輩で、雲の上の人だった。だから今までランク戦を申し込んだことなんてない。そんな人と、まさかこんなところで殺り合うことになるとは。何の巡り合わせだろう。
「悪いけど手加減はしないよ」
「望むところです」
この時点で迅さんは個人ランク二位、私の個人ランクは十位代後半、普通に考えて勝ち目は無かった。でも何故か、とてもワクワクしている自分がいる。
「随分楽しそうだな」
迅さんは、そう言って不敵に笑った。
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亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時