検索窓
今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:283,458 hit

Episode072 ブラックトリガー ページ23

Aside



ビュォオオ、と風が吹いた。目を閉じると数人敵が視えて、とりあえずそいつらをまとめてメテオラでふっ飛ばした。完全に奇襲で、そいつらは即ベイルアウト。


「わー完全に乱戦だなこりゃ」


あちこちで敵同士が交戦してるのが視えて、私はため息をついた。敵は攻撃手か万能手が多く、稀に中距離も混ざっていると言ったところだろうか。


今日は、風刃争奪戦だ。


だから敵は隊ではなく個人、参加者が入り乱れた乱戦だ。私は少し離れたところで様子をうかがう。まず第一に探さなければならないのは、迅さんだ。参加者の中で一番強いのは間違いなくあの人だし、近くに転送されていたなら移動しないとまずいことになる。


『悪いな、おれ実力派エリートなんだわ』


「いた」


サイドエフェクトで探すとその人はいて、今は彼を含めた四人で戦っているところだった。私からは遠く、今は無視していい。


「死ね!」
「わっ」


私が迅さんに気をとられていると、背後から奇襲に遭う。咄嗟にそれを避けて、私は腰の弧月に手をかけた。


「太刀川隊の亜桜だな、ここで始末させてもらう」


敵も弧月使いで、剣先をこちらに向けながら近づいてくる。


「まずは雑魚掃除って感じかな」


グラスホッパーを右手に出して、私は勢い良く地面を踏んだ。


.


トリオン体は疲れないはずなのに、心拍も呼吸も上がっているような感覚に襲われる。実際そんなことはあり得ないのだけれど。それくらいタフな戦場。何人殺ったのだろう。いつも一対一というわけではなく大人数での乱戦もあったし、流石に無傷というわけにはいかない。傷口からトリオンが漏れ出していた。


「どうやら残ったのはおれたちだけみたいだ、Aちゃん」


トン、トンと足音がして、私は顔を上げた。その人はスコーピオンを右手に持って、攻撃を仕掛けるでも隠れるでもなく私の目の前まで歩いてきた。


「こっからが本番ですよね、迅さん」


憧れの先輩で、雲の上の人だった。だから今までランク戦を申し込んだことなんてない。そんな人と、まさかこんなところで殺り合うことになるとは。何の巡り合わせだろう。


「悪いけど手加減はしないよ」
「望むところです」


この時点で迅さんは個人ランク二位、私の個人ランクは十位代後半、普通に考えて勝ち目は無かった。でも何故か、とてもワクワクしている自分がいる。


「随分楽しそうだな」


迅さんは、そう言って不敵に笑った。

Episode073→←Episode071



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
286人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

亜桜(プロフ) - 深未さん» つけてないですよ〜! (2019年12月18日 8時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
深未 - 夢主ちゃんバックワームつけてないの?笑 (2019年12月18日 0時) (レス) id: cdb3fa391f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 霧月さん» そんなに嬉しいお言葉を頂けてうれしいです(T^T)続編更新致しましたのでそちらもよろしくお願いします! (2018年10月8日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
霧月(プロフ) - とても面白いです!!夢主ちゃんの性格も大好きです!!更新楽しみにしてます(≧∇≦*)大変だと思いますが、頑張ってください! (2018年10月8日 0時) (レス) id: 77a041f6c8 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - R.Oさん» ありがとうございます(T ^ T)がんばります!! (2018年8月22日 16時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:亜桜 | 作成日時:2018年6月15日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。