Episode005 ページ6
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あの日、あの雨の日。避難所である学校に着くと家族に再会した。クラスメイトにも会えたが、中には連絡が取れない生徒もいた。これが『災厄』なのかな、なんて思った。あれから数週間が経過し、ボーダーとかネイバーとか、今まで耳にしなかった単語がニュースを飛び交う。なんだか世界がガラリと変わったようだ。
「ボーダーかあ」
悪いネイバーをやつける正義の味方ボーダー！……と、皮肉にも私の脳は能天気な考えに至っていた。もちろん目にした化物への恐怖も、未だに見つからない行方不明者の数々を心配する気持ちも大きい。けれど、私は確かに突然現れたボーダーという組織に憧れを抱いていた。武器を手にとって、敵と戦う世界。それはゲームや漫画の世界でのみ成り立つものだと思っていたのだが、もしかして今の状況……三門市が、そういう世界に変わったのではないか？
「いやいやいやいや」
人が大勢亡くなっているのだ、三門市だって壊れてめちゃくちゃだ。そんな能天気なこと、ボーダーに惹かれてるなんてそんなこと、言っていいのか？「最低だ」と、私はボフッとベッドのクッションに顔を埋める。これは現実だ、ゲームではない。戦うことが、必ずしも楽しいことだとは限らない。人は、一度死んだら二度と蘇らない。瀕死になったら薬で全回復なんてありえないし、魔法は使えない。
一人で、重いため息をついた。抑えろ、この好奇心を。
「……でも、やっぱりボーダーかっこいい」
こんな風に変わった世界、楽しめないわけあるかよ。今まで何にも熱中することがなかった。”あいつが居なくなったあの日”から、全てがつまらなかった。そんな世界に、色が付いたような気がして。しかし、私の頭にあるものが過った。
『助けて！』
『ありがとう……』
『姉さん！』
それは、あの雨の日に視えた光景。私が以前から感じていた、脳内に何かが視えたり、聴こえたりする、あの現象をいつもよりはっきりと感じたのだ。しかも、ご丁寧に血の嗅いまで感じた。視えたものは全てがハッピーエンドというわけではなくて、逃げ遅れた市民が殺される光景や、親と離れてしまった子供、大切な人を失った人の叫び……。そういったものを、いくつも視た。
「ボーダーになったら、一人でも救えるのかな」
自分が逃げていたときのあの恐怖と同時に、妙な正義感が沸いてきて。結局ボーダーを諦めようという考えには至らなかった。……ああ、私、とんでもないバカだ。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます！固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります！！ (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです！続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます！！わがままな作者で申し訳ないです（汗）必ず戻ってきます…！ (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2015年8月5日 16時
