Episode040 桜花爛漫 ページ41
米屋side
おはよ、とそいつの声がして、最近学校でしか喋らなくなったなとふと思う。
「それで出水がさ、」
オレは、休憩時間に亜桜の話をただ聞いていた。ボーダーではこいつには隊があって、それで、オレは他の隊員と一緒に居ることが多くなって。
「ね、訊いてる?」
「ん?訊いてる訊いてる」
「訊いてない。じゃ、米屋の話してよ」
オレの前の席の椅子に後ろ向きに座って、ちょうど真正面にいるその女はオレの顔を覗きこんできた。ぐい、と突然詰められた距離にももう驚かなくなったほど、オレたちは気が置けない仲となっている。しかしそいつの突拍子もない発言に、「は?」とオレは顔をしかめた。オレの話を訊いたところで亜桜はきっと楽しくないし、そもそも代わり映えのない日常を送っているオレには話すことがない。
「そーだな……最近は基地でずっとしゅーじと居るな」
言うと、「えっと……?」とそいつが首を傾げた。そうか、こいつ、ボーダーとしてのオレのことはあまり知らないのか。しゅーじとも面識がないようだ。
「三輪秀次。この前入ってきた同い年のカタブツ」
「誰それ初耳」
最近知り合ったやつで、こいつめちゃくちゃ真面目な奴で。オレは日々尊敬の念を抱いている。オレみたいなタイプのことは嫌いなのかと思ったが、絡んでいると案外普通に接してくれるのだ。そしてオレの机に突っ伏すような体勢になるそいつを見ると、ふととあることを思い出した。
「そういや弾バカっていつからお前の事名前で呼んでたっけ」
「え?あー、昨日?」
昨日ラインをしていたら、弾バカがこいつの話(文句ばかりだが)をするときに、『Aが、』と名前で呼んでいた。それに違和感があってこんなことを問うたのだが、オレの違和感は正しかったらしい。弾バカがこいつの話をするのは珍しいことじゃないが、そうか……
「どんどん仲良くなってんな」
「いや米屋も、出水と仲良くなるの早すぎでしょ」
予想していなかった言葉に「え?」と声が出た。そうか、亜桜からはそんな風に見えていたんだな。オレと弾バカが親しくなったのは、亜桜っていう共通の話題のおかげ……なのかもしれない。
「オレら話してたらよくお前の話になるんだよ」
「えっなにそれ。怖いんだけど……」
オレのセリフに対して亜桜……、Aがそう言った途端、キーンコーンカーンコーンと、チャイムが鳴り響くのが訊こえた。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時