Episode020 ページ21
Aside
「ランク戦ブースやばいぞ!」
医務室から出たあと。太刀川さんと一緒にSEの診断書を見たいのだが、彼と連絡がつかなくて困っていたところ、そんなセリフが耳に入った。ランク戦ブース?確か、隊員同士で勝負するところだよな。A級の人でも戦っているのか?と興味を持った私は、ランク戦ブースに足を運ぶことにした。
「……!?」
太刀川○ × ○
迅 × ○ ×
行けばそこで繰り広げられていたのは、恩人太刀川慶と憧れの人迅悠一の、ハイレベルな試合。この二人が知り合いだったことにも驚いたし、何故こんな展開になっているのか予想することもできなかった。
「あれ?亜桜?」
「出水!」
集まったギャラリーの中から出てきたのは、出水公平。くん付けで呼ぶのはやめた。そして私達は目の前の二人の動きが明らかに圧倒的すぎて、それに見入っていく。
「太刀川さん、もしかしてベテラン隊員なの?」
「いや、慶が入隊したのは最近だ」
「っ、え」
私がボソリと呟くと、出水ではない男の人の声が返事を返してきて、私は思わず変な声を出してしまった。黒髪の、誠実そうな人。背が高い。かなり歳上?
「ランク戦に没頭して、僅かな期間で昇給を果たした男だ」
「まじか……」
いつの間にか私の隣に立っていた男性の言葉に、また一つ太刀川慶という男の理解が深まったような気がした。年季が入った人の戦い方をしていると感じたのは、短い期間で戦いまくるほどの戦闘狂だからだったらしい。
「……ああ、名乗りもせずにいきなりすまなかった、私は忍田、慶の師匠だ」
「師匠!?」
また、新しい出会いをした。あの太刀川慶さんに戦いを教えた、師匠に当たる人。そうか、だからこの試合を見に来ていて、尚且つ太刀川さんのこれまでの経緯に詳しいのだ。
『6ー4、勝者、太刀川』
そして、ここでランク戦が終わる。太刀川さんの勝ちだ。
「あっえっと、私は亜……」
ブブブブ
私が忍田さんに名乗ろうとした時、スマホのバイブが鳴る。確認してみると、それは米屋からの電話だった。私はそれに出て、「はい?」とスマホを耳に当てる。
「亜桜!お前いつまで待たせるんだよ、帰らねえの?」
「あっ!ごめん今いく!」
その声を訊いて、ようやく私は思い出した。サイドエフェクトの診断が終わったら米屋とこのまま帰宅する約束をしていたことを。こんな試合があったせいで、米屋を忘れていた。
「すいません、友達待ってるんで失礼します」
忍田さんに一礼する。出水には「じゃあね!」と雑に言い残して、私はランク戦ブースをあとにした。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます!固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜! (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります!! (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです!続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます!!わがままな作者で申し訳ないです(汗)必ず戻ってきます…! (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜桜 | 作成日時:2015年8月5日 16時