Episode015 ページ16
米屋side
とある日の朝。
「超リアクション薄かったんだけど！」
隣で亜桜が不満げに溢した。どうやら、ボーダー入隊を叶えてくれた恩人に、親から入隊の了承を得たことを伝えたが、「おー」だけで片付けられたらしい。
「あれから会ってないし」
「まー入隊決まれば会えるじゃん？」
オレがそう言うと、「そーだけど……」と、そいつは静かになった。そしてオレたちは、ある建物の前で足を止める。
「それよりお前大丈夫？緊張とか」
「大丈夫だと思う？」
その建物は、試験会場。そう、今日が入隊試験当日だ。亜桜から入隊するという連絡を受けて、前からボーダーに興味があったオレはせっかくの機会なので一緒に入隊することを決めた。
「まあとりあえず中入ろうぜ、中」
そう言って中に入ると会場は結構広くて、オレたちは少し迷いながら試験の部屋を見つけた。ボーダーには戦うイメージしかなかったが、ちゃんと筆記試験もあるのか。
「んじゃ、席行くわ」
「あー、結構離れてるよね」
多分、名前順やらで決めているのだろう。オレと亜桜の席は遠かった。
―――Aside―――
筆記試験が終わって、私は少し伸びをする。中学の定期テストとはまた違った種類の出題傾向だった。遠くの席の米屋が、今起きたと言わんばかりの表情をしている。
「なーな。次、何時からか知ってる？」
受験者たちがぞろぞろと立ち上がる中、急に、隣の席の男子が話しかけてきた。同じ年位だと思う。次は実技だったっけ。
「うーん。多分十五分後じゃないかな？」
「おっ、サンキュ！」
明るい声を作ってその質問に答えると、そいつがぱあっと明るい顔をして礼を言ったので、「いえいえ」と私はさらに笑顔を作った。
「おれ出水、中一。お前は？」
「私は亜桜、同い年だよ」
出水と名乗った男の子は、「亜桜な」と筆記具を片付けながら言った。やっぱり同い年だ。
「亜桜ー、実技の会場行こーぜ」
荷物を持った米屋がやって来た。すると出水と米屋の目が合う。
「え、なに彼氏？」
「誰？亜桜の知り合い？」
二人は口々に訊いて私を見た。申し訳ないが私は聖徳太子ではないので同時に訊き取ることはできない。「いや彼氏じゃねーよ」と、米屋は出水に言った。
「この人はクラスメイトの米屋で、こっちは出水くん、初対面」
私は一気に返す形で答える。声を作っているため米屋が笑いをこらえていたが、私は無視した。
「ってか実技行こーぜ」
「あっうん、じゃあね出水くん」
「おー」
私は筆記具を片付けて米屋のあとに付いていった。
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亜桜(プロフ) - 百瀬さん» ご指摘ありがとうございます！固定夢主の名前を変換しそこねていたようで……大変失礼しました;;気付いたところから修正していきます。 (2023年1月5日 0時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬 - 途中途中で名前が"紗雪"になってますよ〜！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page47 id: 6aa4d6dc2c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 柊那さん» ありがとうございます(´;ω;`)修正多めのマイペース更新で申し訳ないですが頑張ります！！ (2018年5月18日 13時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - 面白かったです！続き楽しみてしてます。更新頑張ってください( -`ω-)b (2018年5月18日 2時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - 藤見日和さん» わざわざ有り難うございます！！わがままな作者で申し訳ないです（汗）必ず戻ってきます…！ (2016年11月24日 20時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2015年8月5日 16時
