【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ5)

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◇ Heartbreak Anthem (nk) ページ5

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nk「あ、」

『……どうも』

商品企画と販売計画の打ち合わせに某社へやって来たNakamuは、会議室に案内される途中で彼女とすれ違った。

首から提げた社員証には、もう懐かしいとすら感じる名前と、髪の長い頃の写真。

nk「髪、切ったんだ」

『今の時代それもセクハラになるそうですよ』

そう微笑む彼女、───Aは、他の社員の目を気にしてかまた会釈をして、カードキーをタッチしてオフィスへと戻って行ってしまった。

Nakamuはつい、閉まるドアの小さなガラス窓越しに、去っていくAの背中をぼんやりと目で追う。

「Nakamuさん？こちらにどうぞ」

nk「あ、ハイ」

担当さんに呼ばれて、Nakamuはやっと背を向けた。

僕たちはもう前のような関係じゃない。……そう、大好きな、僕の恋人だったA。君を手放したことを、きっとまだ心のどこかで後悔しているんだ。

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Heartbreak Anthem

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「長々とすいませんでした」

nk「いや俺も白熱しちゃって」

やっと納得のいく内容にまとまるまで2時間以上費やし、Nakamuは渡された商品の仕様書やサンプルをリュックに詰め込む。

nk「お借りしたサンプルはメンバーにも共有しますんで」

「あ！そのままお持ち帰りください、他タイトルですみません。……あ、良かったらうちで作ってるやつで欲しいのあれば持って来ましょうか」

なんか好きなアニメとかゲームあります？と聞いてくる担当者に、Nakamuは「いや悪いですよ」と言いながら、あれこれ好きなアニメタイトルの候補を言ってみる。

「あ〜！アレなら作ったばっかなんですよ。今期アニメの中ではめっちゃいいですよね、サンプル出せないか担当者に聞いてみます」

そう言って担当が会議室を出て行くと、Nakamuはやっと大きく息をついて、もう残り少なくなったお茶のボトルを開ける。