【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ33)

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『シャークん！』

ずっと待っていた、自分を呼ぶ声。顔を上げて振り返るのと、暖かい、柔らかな体温に包まれるのはほぼ同時だった。

sh「───A？」

『シャークん、シャークん……！まだ具合悪い？痛いとこある？なんで泣いてるの、……ごめん、ごめんね。シャークん』

抱き締めたあとすぐ顔をぺたぺたと包んでは色々なところを見たりして、Aは涙ぐんでまたシャークんを抱き締める。

sh「A、なんで……」

kn「シャケが良ければ、また一緒に住みたいんだってさ」

泣き出したAの代わりに応えたのは、シャークんの背後にいたきんときだった。

kr「きんとき、もっと早く言えよ。俺まで最悪のパターン考えちゃったじゃん」

kn「いや喋るタイミングなかったくね？シャケ泣き出したのマジ秒だったよ」

sh「な……！う、うるせぇな……！」

Aが居なくて泣いたクセに、Aが戻ってきた途端にまたカッコつけ出すシャークんをきんときときりやんが「なんか言ってるよ」と言わんばかりの目で見下ろす。

『シャークん、』

呼ばれて視線を落とせば、……Aは、ずっと俺のこと好きでいてはくれたんだなって、そう思えるほど、1ヶ月ぶりに見るAは少しも変わってなかった。

『私から出て行ったのに、こんな事言えないけど、───これからもシャークんと一緒にいさせて』

sh「……俺も、Aが居ないとうまく生きれない」

情けなく笑えば、Aからキスをしてくれた。

きんときは背後で「おー」とか言って距離を取ってくるし、きりやんなんかは「ハイハイよろしくやってろ」と文句を言いながら、Aの引き摺ってきた大きなトランクを運び入れてくれたりして。

次の月に出した婚姻届の証人欄は、この2人が署名してくれた。

I'll find a better way.