【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ16)

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◇ not the end of the world. (kn) ページ16

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『私って、きんときの彼女だよね？』

めんどくさい女だと思われるかもしれない。そんな懸念をするより先に、ずっと溜め込んでいた気持ちが口を破って出てしまった。

メッセージの送信取り消しボタンのように、言ってしまった言葉を拾い集めて無かった事にするとかができたらいいのに。

そう後悔するのは、だいたい言ってしまったあとのこと。

kn「……俺たち、付き合ってたんだ？」

世界が崩れるのだって、一瞬なのだ。

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　not the end of the world.
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戦争でも起きればいい。地震でも来ればいい。怪獣が都心を襲うとかでもいい。

不謹慎な事を考えるのは、もはやこの状況をひっくり返せるのは、超現象レベルの有事で世界がまるごと混乱に陥る事以外ありえないからだ。

そうすればきんときの事を何も考えずに済む。

なのに、こう言う時に限って外は快晴。気温もちょうど良くて、風も穏やかで。すこぶる平和な世界が窓の外なり、スマホの画面越しのネットなりに横たわっている。

きんときから声を掛けられて知り合ったのは、大学に入って1週間ほど経ってから。

kn「Aさんだよね？俺のこと覚えてる？高校のときクラスメイトだったんだけど」

きんときは高校からの同級生、だったらしい。1年の時だけ同じクラスだったと言われたが、正直女友達とばかり連んでたせいもあって覚えてない。
私としては、同じ大学の同じ学部に進んでから知り合ったという認識をしている。

さわやかで、いつも口角が上がってるイケメン。気配りができて誰にでも平等で優しくて。
まぁ、きんときに難があるとかではなく、モテモテだからこそ近寄り難い人という感じ。

そんな彼から声を掛けられて、私は図に乗ってたのかもしれない。

kn「A、そのワンピース似合ってるね」

kn「髪色変えた？すっごく可愛いよ」

kn「ね、同じ講義の時はさ、Aの隣の席は俺だけにとっておいて？」

kn「このピアス、Aに似合うと思って買っちゃった。もらってくれる？」

kn「Aのペンダントどこで買ったの？俺も同じの着けちゃおうかな〜」

全部が全部、遊びだったってこと？

きんときの顔を見たくなくて、……正確に言えば、私を目の敵にしていた女の子たちにこんな姿を見られたくなくて。もう2日も学校を休んでる。

1年の中間考査を前にして単位やばいとか笑えない。
でもきんときが悪い。私のせいじゃない。