因果因縁【WT】 (ページ39)

今日:8 hit、昨日:45 hit、合計:537,724 hit

愛の首輪ページ39

.

「わー！！片桐先輩！！」

彼女は嬉しさのあまり勢いよく片桐の背中に突っ込んだ。後ろからの衝撃を受けながらも踏みとどまり、振り返った片桐は変わらぬ彼女の様子に優しく笑みをこぼした。

「お、早速来たよ片桐だいすきマン」
「スカウト旅お疲れ様です！久しぶりだ！片桐先輩！結束先輩！」
「あはは、元気だねAちゃん」
「元気です！！」

んふふと笑う彼女に笑い返す片桐と呆れた顔の結束。
彼女は片桐のことが大好きだ。片桐との出会いは階段を踏み外したところを助けられたことだった。生まれてはじめて階段を踏み外した驚きと怖さに、彼女は抱き止めてくれた片桐の胸でガン泣きしたのだ。この時初対面の知らない女の子に泣かれた片桐だったが、彼女が泣き止むまで胸を貸し、泣き止めば俗に言うお姫様抱っこで医務室まで運んだりと、あの時の彼女からしたら片桐は王子様だったのだ。
それ以来彼女は片桐を敬愛している。付き合うなら片桐が良いまで言う程に片桐のことが好きだった。

「寂しかったです！」
「俺も寂しかったよ。いつもAちゃんと会ってたから」
「Aちゃんにこんなに愛されてる男は中々いないわよ……羨ましい限りだこと」
「ヌェ？！結束先輩もですよ？！当たり前じゃないですか！」
「心配してないから焦らなくても……」

現にこんなに彼女にあからさまに好かれている人間はボーダー内では片桐くらいしかいない。いくら普段色々な人間と関わっていようと、彼女は片桐を前にした途端全てを放り出して片桐の元に向かう。その光景の度に出水や烏丸は羨ましいと何度も思うし、荒船たちは犬かよと呆れるしかなかった。

「今日せっかく結束先輩の解説なのに私これから防衛任務で見れない……あとで桜子ちゃんから音源貰います……」
「そんな落ち込まなくとも……」
「頑張ってね」
「ンーー！！がんばります！！」

このテンションの差である。

確信犯でしょ、とジト目の結束の視線を受けながら片桐は彼女を撫でる。自分のことを好いている後輩に甘くなるのは仕方ないだろうと言いたいのか片桐は、結束に「仕方ない」と返した。

ー

■ 片桐
本作でいちばんAからの愛を受けられるSSRを初対面で取得した男。Aのことは可愛いなって思ってるけど恋愛対象ではない。Aも片桐のことは恋愛対象ではないがお互いの雰囲気がそれっぽいので1部では勘違いしてる人がいる

.
ちょっと文章修正しました