ラヴがライク ページ26
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「最近お師匠冷たくてなぁ」
「……それおれに言うかぁ?」
「仲良いやんか、2人」
隠岐は困ったように笑いながら手元の飲み物を飲んだ。出水は首を傾げるも隠岐は「そういうとこやで」と言うだけだ。
「隠岐も懲りねーな」
「お師匠ねこちゃんみたいでな、ついついやってまうんよ」
「ブッハ、ねこちゃんね、わかる」
「せやろ〜?」
ケラケラと笑う出水に隠岐は微笑んだ。普段あまり一対一で絡むことも少ない2人だが共通話題がある今は別だ。言わずもがな話題にされている当の本人は不在だったが、いたらいたで騒いでいただろう内容故に2人は心置き無く食堂で好き勝手話していた。
「隠岐はアイツんこと好きなん?」
「ん〜……好きかって言われたらそりゃあ好きやけどラヴっていうよりはライク?あんこいつも泣いとったから笑ってて欲しいな思ったらちょっかいかけてた感じやし」
「そう言われると納得するわ」
「そういうそっちはどうなん?好きなんやろ〜」
「うわ、うるせ〜」
「そらないわぁ」
ケラケラと笑う出水だったが、少し懐かしそうに口を割る。
「でもおれ最初の頃めっちゃ嫌われてたんだよなぁ」
「……ご冗談?」
「いやこれマジ。目合わせてくんないし話も返してくんないしであからさまに嫌いオーラ出されてたわ」
「そんな事あるんや」
それはまだ彼女が太刀川隊に入ったばかりの頃。自分よりも優秀な射手である出水にひどい劣等感と嫉妬心に駆られていた頃。
その時の彼女は出水を見るだけで鬱になるレベルで出水を苦手としていて、何かと太刀川や烏丸の後ろに隠れ、話しかけられる前に逃げる等徹底した拒否をしていたのだ。ある日を境にその蟠りは解け今の距離感になるとはいえ、当時の出水は相当頭を悩ませた話である。
事の顛末を聞いた隠岐はそんな事があったとは、と驚きを隠せない。
「ほんならおれもお師匠と大喧嘩するしかないんかなぁ」
「いやぁでも隠岐には懐いてると思うけどな」
「ええ……」
「だっておまえ京介にちょっと似てんじゃん」
「そこかぁ」
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作者名:40 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月26日 0時