アルター･エゴ ページ3
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彼女は見つめる。
小南には「あんた熱あんのに隠してたの？！」と散々叱られ、木崎には「しばらくトリガー没収だ」とトリガーを取られてしまった彼女は為す術なく、彼女のために用意された空き部屋に収容されていた。
お粥を持ってきた宇佐美には「あんまムチャすると悲しい人がいるんだよ」と困ったように言われてしまい、普段どんなことをしても笑って許してくれる宇佐美を困らせてしまったのだと、彼女は更なる罪悪感を抱えていた。
ランク戦を控えた玉狛第二の3人にはメールで無事を願われ、食べ終わった食器を下げに来た烏丸は大層怒っていて「二度とそういう事をするな」と指切りまでさせられる始末で、彼女は玉狛の面々に迷惑ばかりかけてしまったと後悔と反省の気持ちでいっぱいになっていた。
「おまえ自分は無敵だと勘違いしてるんじゃないか？おまえも人間だ。俺と、同じ」
「はい……」
「意地悪が言いたいんじゃない、無茶してほしくないんだ。おまえは確かに強いしこんなこと言われたくないかもしれないけど、俺はおまえのことを一人の人間として守りたいって思う」
烏丸は絡めた小指の力をさらに強くした。
「休め。休んでしっかり食べて、また元気になればいい。別に全て背負わなくていいだろ。変なこと考えて要らないものまで背負った気になるな」
そう言うと烏丸は食器を持ち上げた。
烏丸は絶対安静、と念を押すと扉の外へ消えていく。
彼女は去っていく烏丸の背中が大きいことに、その時初めて気づいた。ずっと肩を並べていたと思っていた烏丸は、いつの間にかずっと先を歩いていた。彼女は寂しい気持ちになる。
それが熱が引き出す作用なのか、それとも置いていかれている不安からなのか、揺れ動く彼女には何もわからなかった。ただひとつ、迅の言葉に素直に頷くことが今の自分にできることということだけは、分かっていた。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
