ハイリスク･ハイリターン ページ14
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入隊しその日のうちにB級に上がったヒュースに対する注目度はそれは凄まじかった。恒例の入隊式の記録もあっさりと歴代高タイムを越えていき、ランク戦では無双状態。かつて空閑がそうやってボーダー内を騒がせたように、ヒュースは注目の的になった。
最速B級昇格を果たしたヒュースに攻撃手界隈に巣食う強者たちは、新しくのさばってきた強者を歓迎するように次々とヒュースを試合を申し込んでいた。
東隊の小荒井に奥寺、香取隊の三浦に柿崎隊の巴といったマスターランク予備軍たちを呆気なく倒していくヒュースに、盛り上がるB級隊員たちを相手にヒュースはそれまで相手してくれていた彼女を思い出した。
ヒュースが今まで相手にしてた彼女はとにかく機動力で攻めに来るタイプだったため、連携を得意とする東隊の2人や、援護を得意とする三浦や巴はヒュースにとって相手しやすいタイプだったのだ。
だが、諏訪隊の笹森に二宮隊の辻まで来はじめるとヒュースの無双は崩れ始めそれなりに負けが見えはじめるも、それでもヒュースは勝ち星を譲らなかった。
「ヒュース！」
辻との試合を終えブースから出たヒュースはブンブンとこちらに手を振る彼女を見つけた。彼女は上階のブースに籠っていたようで、柵から身を乗り出している。
「聞こえている」
「まってそっちいく！飛び降りる！」
軽々と柵を越えヒュースに駆け寄る彼女は周りの状況を察したのかニヤニヤとしている。
「ニヤけるな」
「顔が勝手に……」
「お、小鍛冶ちゃんホンマ今日も可愛いな」
ヒュースと彼女が話している間に、小荒井が捕まえてきた生駒が背後にいたようで突然に褒められた彼女は「ンギッ！？」と声を上げる。
「おいA」
「ん？」
「イコマとやらは強いのか」
「ムチャ強いよ！攻撃手ランキング上位の人だし」
「小鍛冶ちゃんに褒めてもろて嬉しくて死んじゃう」
どうやらヒュースの次の相手は生駒らしい。
小荒井と奥寺にヒュースとの関係を小突かれた彼女は秘密だとそう言い液晶に映る試合を見守った。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
