割と中心はお前だったりする ページ50
.
「いや小鍛冶は変則的すぎるだろ」
「でも孤月ならグラスホッパー使わないしいけるって」
「お前はなあ、」
小荒井と奥寺の討論を、オペレーターの人見は楽しそうに話を聞いていた。
彼女の話を出せば思い浮かぶ同い年の荒船や村上、影浦たちの顔に加えて同じオペレーターの国近や加賀美たちの顔。人見は口元に笑みを浮かべながら小荒井たちの会話を聞き、次のランク戦用に集めた資料を纏めていた。
機械的な音と共に東がやってくれば、2人してそれまでああだこうだと討論していた顔を東に向け挨拶をする。東隊ではよくある風景のひとつだった。
人見は「お疲れ様です。お茶いれますね」と席を立ち給湯器を手に取ると、東は「ありがとう」と笑いそのまま小荒井たちとテーブルを囲んだ。
「小鍛冶の話でもしてたのか？」
「はい。最近小鍛冶が孤月使ってるから、もし小鍛冶と当たったらの話してるんです」
「はは、面白いな。聞かせてくれないか？」
人見の入れたお茶を手に東はそう言った。
その言葉を聞き小荒井と奥寺は口を開く。
小荒井曰く、孤月を持ったままグラスホッパーは使わないだろうからわざと挑発して彼女の体制を崩す。奥寺曰く、彼女がグラスホッパーを使う可能性が十分にあることを視野に入れてないからそう簡単に首は取れないと。
「けど小鍛冶がこの前孤月を投げたりしたって聞いて」
「なるほど。投げる奴はそうそういないな」
東は楽しそうに笑った。東は彼女のことを長い間見ていた人物の一人だ。
彼女は東にはだいぶ世話になっているし、東も会う度に体調を気遣ったりたまに食事に誘うこともしばしばあった。それに東は彼女が今にも穴に埋めたい程恥ずかしがっている伝説の狙撃手時代のランク戦の解説担当をしていた。彼女のトリッキーな動きや予測不能な攻撃方法を、よく知っている。
小荒井たちは同い年で同じ学校だからよく話すようで彼女という人間を知っているようだが、人見だけは違った。
同じ学校でも年齢も違い会うタイミングもない人見は、加賀美の熱心な語りや荒船や村上たちが会話する中の彼女か、対戦ログに映る楽しそうな彼女しか知らないのだ。
「人見とは気が合うかもしれないな」
「そうなんですか？」
「アイツよく荒船に付き合わされた影響で映画好きらしい。ホラー映画」
「！……そうなんですね」
東はそう言い笑った。人見は今度加賀美たちに会えるよう紹介してもらおうかな、とそう思うのだ。
.
続編行きます
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
