ララバイの前置き ページ47
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B級ランク戦ROUND4夜の部は、かなりの賑わいを見せていた。
それもそのはず、結成して間もない玉狛第二の怒涛の快進撃により乗り込んできた上位チームとの四つ巴だ。相手は元A級の二宮隊に影浦隊、A級1位を率いた経験のある東のいる東隊だ。解説席に座る加古と風間もボーダー内で超がつくほどの有名人だ。
普段は現地観戦の彼女もB級ランク戦が始まってからはずっと半ば強制的に玉狛での観戦を余儀なくされていて、今日も例に漏れず玉狛のテレビから見守っていた。隣に座るヒュースは片時もテレビから視線を外さない。「Aちゃんもどうぞめしあがってくれたまえ」と菓子を差し出す陽太郎に、彼女は礼を言い有難く受け取る。
「Aちゃん？」
「ッはい……」
「眉間にシワよってるよ。心配？」
「……ちょっとだけ」
「玉狛贔屓にしてくれてて嬉しいなぁ」
迅はそう笑いながらお茶を出す。
彼女のサイドエフェクトが反応を起こしている以上、三雲はおそらくすぐに落とされる。この試合が玉狛第二にとって大きな壁になることを察していたのだ。
「……よし！おれのおやつもたまこまにかけよう！」
「貴様……何を企んでいる？」
「何ってただの賭けさ。分が悪い賭けは嫌いじゃないんだ」
気づけば難しい顔をして考え込む彼女を他所に、迅とヒュースは賭けを始めているようだ。
そんなことをしている合間にもランク戦が始まる。
画面では影浦が空閑とエンカウントし、早々にお得意のサラマンダーで攻撃を仕掛けていた。楽しそうに笑っている自身の師匠を見て、彼女は珍しいなと思った。影浦のサイドエフェクトは厄介だ。普段は他人の負の感情ばかり嫌に刺さるからランク戦だろうと個人戦だろうと笑ってる影浦はそう見かけないのだ。
「おいA」
「ん？なに？」
「カゲウラはおまえの師匠とやらなんだろう」
「うん」
そうか、と言うとヒュースはまた顔をテレビに視線をやった。
彼女は無意識のうちに固く手を握るヒュースを見逃さなかった。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
