合縁奇縁【WT】 (ページ33)

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番人のティ･タイムページ33

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出水公平は基本的に小鍛冶Aに対して甘い。

「出水先輩！唯我が意地悪ばっか言う！！」
「オイコラ唯我ァ」
「おい貴様！すぐに出水先輩に密告するのは卑怯だとは思わないのかね？！」
「さっきからずっとネチネチうざい！今唯我に構う気分じゃないしだるいからヤダ！」
「うざ……？！だる？！！やだ！？！！？」

ギャアギャアと喧嘩する唯我と彼女の仲裁は決まって出水の役目だった。
大抵は出水に締め上げられた憂さ晴らしに唯我が彼女にちょっかいかけるのだが、大抵の事は彼女は適当に流したり無視してたりしたのだが今回ばかりはそういう気分ではなかったようで、すかさず自分に甘く唯我には厳しい出水を召喚したのだ。

彼女は出水が自分に甘いことを知っている。明らかに他の同い年の子や年下の子とは違って甘やかされてるし基本なんでも全肯定してくれてた出水を、彼女も、またその周辺も気付かないわけがない。

だが彼女はその甘さにラヴの感情が備わっていることには気づいていない。

そうとは知らず出水の背後に周る彼女に、出水の気持ちは満たされていた。好きな女の子に頼られることが嬉しいのは、男の喜びなのだと感じるほどに出水は満足感を覚える。

「あまいねぇ」
「あまいな」

同じ隊の国近と太刀川は楽しそうに笑った。
ここに烏丸がいた頃は、よく彼女のお守りを任されていたのもあり烏丸と彼女はニコイチの扱いだった。出水はそんな彼女のことはもちろん烏丸のことも丸ごと可愛がっていた。
出水は烏丸と好きな相手が同じことに気づいていない。烏丸が彼女を気にかけたり世話を焼くのは烏丸が大家族の長男であるからだと思っていたし、それならここにいるくらいは甘えさせてやろうとすら思っていたのだ。

「あ、きょんくんが迎えに来るんだった！」
「京介が？玉狛でメシか？」
「は？！あの貧乏人とまだつるんでいたのか！」
「うっせぇぞ」

出水に蹴られ泣き喚く唯我を無視し、彼女にコートを手渡した。

「今日はレイジさんの野菜炒めの日だから行かなきゃ」
「ロビーか？送ってく。ついでにジュース買いてぇし」
「ありがとうございます」

「じゃあお先失礼します！」と手を振り隊室を出てゆく彼女の後を追う出水を見て残された国近と太刀川は笑った。あまいな、と。

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