スキップ･アンド･ステップ ページ18
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「……つまり、大規模侵攻はきょんくんたちといればいいってこと？」
差し出されたぼんち揚げをつまみながら彼女は迅の顔を見上げた。「そういうこと」と目を細め笑う迅に、彼女は眉を寄せる。
迅には先日あった黒トリガー争奪戦以来顔を合わせていなかった。割と本部にいたらしいが偶然なのかはたまた避けられているのか、真偽は不明だが彼女は迅と一度も会うことはなかった。それが突然ふらりと現れて未来視で見た世界線の話をされたのだ、彼女は押し寄せてくる色々と言いたい気持ちを腹にとどめる。
近々大きな近界民の襲撃があるということは昨日太刀川から伝えられていた彼女は、迅の頼みである「当日は烏丸たちといてほしい」という願いを飲み込んだ。
「わかりました」
「お、助かるよ」
「私のサイドエフェクトが言ってました」
「なんて言ってた？」
「迅さんの言う通りにした方がいいって」
「へぇ、賢明な判断だ」
楽しそうに笑う迅を見て、今回は何が視えているのだろうかと考えた。
ーー小鍛冶Aのサイドエフェクトは人より第六感が優れている事だった。簡易的な説明をするなら勘が良い。
彼女は自身のサイドエフェクトのことを劣化版未来視だと思っているが、彼女のサイドエフェクトと迅悠一のもつサイドエフェクトは似ているようで少し違う。
彼女のサイドエフェクトは人よりも勘が当たるところにあって、たまに外すこともあるのだ。百発百中、とはいかないが大抵の勘は当たる。パーセンテージで言うなら96パーセント。これが彼女の強みであった。
加えて彼女のサイドエフェクトは、良いとことの兆しを見抜く事よりも不吉な勘の方が当たる。これは恐らく彼女の生存本能の高さからくることなのかもしれないが、彼女はそういう時決まって迅から頼み事をされる。
それこそつい先日の黒トリガー争奪戦も嫌な予感を募らせつつも、本部長からの命令という形で参加せざる得なかったのだ。迅はそれも込みで忍田の口から彼女に命令してくれと頼んでいたことは、この時彼女は全く知る由もない。
「Aは大規模侵攻で何か嫌な予感する？」
「大規模侵攻ってだけで嫌な予感しかしないですよ」
「それもそうだ」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
