レンゲソウ�� ページ6
動かない蓮華を
Aはそっと撫でた。
身体は、もう冷たい。
周りに広がる鮮やかな赤は、
彼女の白い肌をより際立たせていた。
「どうやら、終わったようですね」
襖が開く。
石川は部屋に入ると、血を流す蓮華を一瞥した。
「残ったのは、黒蝶ですか」
『そう、仕向けたくせに』
Aは静かに口を開く。
その声は、恐ろしい程低かった。
「…何のことです？」
『……蓮華にも、貴方の異能が発動していた』
そう云って、Aは蓮華の髪を避けて首元を見た。
そこには、“ 赤い跡 ” 。
『…最初から、蓮華を殺すつもりでいたのね』
石川は、妖しく口角を上げた。
「彼女が私を裏切った時、私はこう云ったんです。
“ 私の役に立ってから死んでください ”、と…。
…さて、これで黒蝶…貴女が裏切ったら
如何なるかお判りですか？」
『…つまり、蓮華は私への
Aはぎゅっと蓮華の服を掴む。
…強く、強く。
「私には感謝して欲しいぐらいですよ」
石川は俯くAの腕を掴んで、
彼女を立たせた。
蓮華は、倒れたまま。
「毒が身体に回って死ぬ寸前だと云うのに、
ギリギリまで生きさせ、
最期には親愛なる友人と合わせてあげたんですから…」
『巫山戯ないで！！！』
Aはバッと石川の腕を払い、
彼を睨みつける。
「ふふ、
私が憎いですか？
私を殺したいですか？
でも貴女には無理です。
誰が何と云おうと、貴女は私の
熱い眼差しに、甘い声。
昔、石川グループの遊女たちが逃げ出さなかったのは、
この彼の眼差しや声に、虜にされてしまったから。
愛のない甘い囁きに、騙されていた。
騙されていたのも、
石川以外に彼女たちを魅了する人が居なかったから。
『私は、もう昔の私じゃない…
貴方の誘惑になんて、騙されないわ』
ピク、と石川の眉が動く。
『…貴方の声より安心する声を、
私は知っているから』
そう云って、Aの頭に浮かぶのは
帽子を被った
『私は逃げない。
でも、ただの貴方の玩具にはならない。
…守りたいモノを守る為に、私は此処にいるの』
そう云うAの目は何処までも気高く、
________光が差し込んでいた。
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
