守りたいモノ�� ページ13
木屑が舞う中では、
甘い香りと木材独特の香りが混在していた。
「…気に食わない……気に食わない」
木柱に身体が半分のめり込み、
処々から血を流す石川。
そんな石川を、中原は黙って見下ろす。
「…黒蝶は…女は、私が買った……私が、支配したのです…
なのに」
ﾐｼﾐｼ…と木柱が唸る。
石川はフラフラとした足で、地面に立った。
「________何故、私の元から居なくなる？」
ゆらり、と顔を上げた石川。
その顔は、闇にのまれていた。
「……元から、手前は支配出来て無かったんだよ」
中原は静かに云う。
そんな中原を見て、石川は狂気じみた声で笑った。
「くくく…。
支配してたさ！！
私が買った女は
私の為に働き、
私の為に生きていた…！！
まさに “ 呪い ” です…
支配こそ、呪い。
黒蝶は
私から逃げられない……逃がさないさ」
光の無い目が中原を捕らえる。
「だったらその呪い…
________俺がお祓いしてやるよ」
そう云って、
中原は一気に石川目掛けて走り出す。
自分の拳に異能を発動させ、
重い拳を石川へぶつけた。
ﾄﾞｺﾞｯ_______
「チッ…避けたか」
中原の拳は綺麗に木柱に刺さっていた。
メキメキ…と云う音がして、
その木柱は折れる。
「…触れたものの重力を操る、でしたっけ」
「！」
背後から気配を感じ、
中原はそこから身体を横に傾ける。
ﾋｭｯ_______
中原は地面を蹴って宙を舞い、
再び地面に着地した。
「…！」
顔を上げ、石川を見た中原は目を見開く。
石川の首元には、“ 赤い跡 ” が。
「…自分自身に異能を発動させ、
操って避けたって訳か」
石川は不敵に笑う。
「貴方の異能発動条件は対象に触れること…
貴方に触れられなければいい事です」
「それは、手前も同じ条件だろ。
自分の血で相手に触れることが発動条件だったなァ」
だったら勝負は…
「「________
そう云った直後、
激しい爆風で木屑が勢いよく舞った。
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
