32.地球 ページ39
全ての書類を片付け終わる頃には、一日が終わりを迎えようとしていた。
こうして机に向かって仕事をしている分には、真選組にいる頃と何ら変わりはないように感じる。
…実際は宇宙を旅している真っ最中なのだが。
気分を晴らすために廊下へと出る。
通路の窓からなら、外の景色を見ることが出来る。宇宙から見る景色は、地球からとは違ってまた良い。
ここから景色を見るのが、宇宙での唯一の楽しみと言っても過言ではない。それほどまでに綺麗なのだ。
そして、ふと一点を見つめる。そう、『地球』である。
今までは見えなかったものの、地球に近づいたことによって見えるようになったのだ。
目に入るだけでも、星は何百とある。それなのに真っ先に目がいくのは、地球。
それは別に私の故郷だからと言う訳ではなく、誰が見てもそう答えるであろう。
…こうして星を見ていると、考える。
数多の星がある中で、地球という星で武州のみんなに会えたことは本当に奇跡だと。もし私の親が、地球に行っていなかったとしたら、私は今頃何をしていたのだろうか?
「暇なら俺と闘る?」
宇宙を眺める私が退屈そうに見えたのだろうか。コツコツと音を立てながらこちらへと歩いてくる神威さんは、相変わらずの笑顔である。
「貴方のためた仕事のせいで疲れたので、リフレッシュです。」
「Aも言うようになったね。」
そう呑気に話す神威さんは、私の横へと来ると、窓に寄り、地球の方を見る。
「ここでの生活も、悪くなかったでしょ?」
「……まぁ、否定はしませんけど。」
「ここに転職してもいいんだよ?三食飯付き、オマケに無限に湧いてくるサンドバックまである。」
「サンドバックって、それ天人ですか?」
確かに、ここでの生活は本当にいい経験になったと思う。なによりも、自分のことをよく知れたから。
「でも、すみません。前にも言った通り、私は真選組を裏切るつもりはありませんので。」
「ほんとに忠実だね。また俺の遊び相手がいなくなっちゃうじゃないか。」
遊び相手。全く、本当にとんだ戦闘狂だと思う。でも、戦うことの楽しさを否定しきれない私も、あまり変わらないのかもしれない。
「まぁ、あとちょっとの海賊ライフ、最後まで楽しみなよ。」
そういうと、背を向けた神威さんは去っていった。
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愛梨沙(プロフ) - 面白いです。更新楽しみにしてます。頑張ってください (2019年12月23日 1時) (レス) id: cd2953f50f (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!Twitterにもこちらにも感想を下さるなんて…!!更新頑張ります! (2019年8月16日 20時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - Twitterでのとあるふぉです!飽さんの小説最高でした、、神威かっこいい、、!!応援してます!これからも頑張ってください! (2019年8月16日 18時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - ツナを食す夢猫さん» ありがとう…!!しっかりなんて…(∩_∩) 本当に適当に読んでくれて構わないからね! (2019年8月16日 16時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
ツナを食す夢猫(プロフ) - 飽さんこんにちは()飽ちゃんの文をしっかり読むことは少ないから小説を読めるのが凄く嬉しいです!更新頑張ってね!! (2019年8月16日 9時) (レス) id: fb2e15c792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飽 | 作成日時:2019年8月11日 18時