ちょっとの会話とおやつと ページ12
聖羅「……ヤマモモか。これなら平気だな」
と、ビニール袋にいくつか採取して枝から飛び降り、着地する。思ったより充分な量が取れていた。
小屋に戻ってから実を水道でちゃんと洗い、空さんに続いて僕もヤマモモを食べてみた。
……ん、甘酸っぱい。中に種が入ってるから果肉は歯で削って食べる感じかな。
種入りの小さい粒のフルーツ……作りがさくらんぼに似てるかも。
聖羅「…………」
聖良「ん……なんれすか?」
聖羅「いや。表情がよく変わると思ってよ」
……変な顔でもしてたかな?
聖羅「アンタはわかりやすいってこと。隠しごととか苦手な方だろ」
聖良「うーん……そうかもしれません。エイプリルフールが嘘を吐いてもいい日って知った時、最初に『今から嘘言うね』って言っちゃって、結局嘘は言えなかった事、ありますから……」
聖羅「エイプリルフール?……あー、
聖良「4月の魚……って意味でしたっけ」
聖羅「そーな」
聖良「…………」
聖羅「…………」
か、会話が続かない……。
気まずさを感じていると、先に聖羅から口を開く。
聖羅「食い終わったんなら、さっさと戻んぞ」
聖良「えっ、けど僕泳げな──」
言ってる途中で、また何かを投げて寄越される。
小さな筒状の、空気が入ったものだ。
聖羅「防災グッズの中に入ってたアームフロート。まぁ、腕につける小さい浮き輪みたいなモン。それ付けりゃ泳げなくても浮くぐらいはできんだろ」
聖良「…………。ありがとう、ございます……」
小屋から外に出てみると、さっきまで僕達がいたビーチが見えた。
距離は……そんなに遠くないかも?
目を細めて目測で距離を測っていると、空さんは何の躊躇いも無くザブザブと海へ入っていく。
僕も後を追って海に入ると、さっき溺れた時と違って体が海面に浮いていた。
足を動かせば、体が前に進む。
……なんだ。泳ぐってそんなに難しくないんだ。新しい発見だ。
*
リク「あっ、帰ってきましたね!」
チトセ「ほらな、お前が心配する事でも無かっただろう?」
夜日名「お嬢様、よくぞご無事で。舞川様も」
カヤ「ってアレ?アームフロート持って来てたのか、マイさん。ひょっとしてカナヅチ?」
聖良「あはは……」
笑ってごまかすと空さんは手の甲を僕の頭にコンと一瞬だけ載せて、素知らぬ顔で別荘の建物へ戻っていってしまった。
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氷河吹雪(プロフ) - 遅くなりました! (2021年9月16日 18時) (レス) id: 1c9fee35a9 (このIDを非表示/違反報告)
氷河吹雪(プロフ) - 雷雨さん» ごめん!勉強してから更新しまぁす! (2021年9月13日 20時) (レス) id: 1c9fee35a9 (このIDを非表示/違反報告)
氷河吹雪(プロフ) - 雷雨さん» うそ!調べて違ってたら直す! (2021年9月12日 23時) (レス) id: 1c9fee35a9 (このIDを非表示/違反報告)
雷雨(プロフ) - 氷河吹雪さん» そう言えば知ってるかな……?MyukiじゃなくてMyuk(ミューク)って読むんだよな、アレって……。てことで誤字アリマシタ…… (2021年9月12日 22時) (レス) id: b56424d09c (このIDを非表示/違反報告)
氷河吹雪(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます! (2021年9月12日 10時) (レス) id: 1c9fee35a9 (このIDを非表示/違反報告)
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