【d！】ほな、さいなら

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ーAside

ここに来て、少しの時が過ぎた


『いらっしゃいませー』

パン屋の仕事は前よりも随分と難しいけど前よりずっといい仕事だ。

最初は接客業と料理に全く関わってこなかった為
とってもとっても苦戦したが私に料理を教えてくれる親愛なる師匠もこの4人も居るおかげで
最近は少しづつ慣れるようになってきた。

4人…？あぁ、


「しにがみさ〜ん、これ焼いてくださ〜い」
sni 「お、なになに？」
「チキンです」
「チキンじゃねぇよ」
「焼いて欲しいのはチキンです」


「…」
pi 「トwラwゾwーwなwにwやwっwてwんwのwwwww」

tr 「もぉやだ退勤する」

チキンさ…いや、トラゾーさん言うのは
この店を切り盛りしてる1人でこの4人の中で唯一の既婚者で
ムードメーカーのバーサーカー言う印象が強い人
素敵な奥さんが家で待っている為
家は別ですが奥さんもトラゾーさんもしょっちゅう来てくれます。

…ちなみに素敵な奥さんことイナリさんは
私の親愛なる師匠でもある方です


ここは、なんだか暖かくて面白くてそうで、居心地が良かった。



けどその暖かさは忘れられない人生で1番楽しかった時間に似ていて
きっときっとこの後の人生でも、縛られ続けるんだろうな

私は、



別人になれるだろうか。












薬に手を出した時点で。
もう私は私から逃げられないのだろうか。
そんな事を考えているとまだ昼間なのに声が
まるで聞こえなくなる


…私は






人間として


この後の人生を歩んで行きたい。








けれどそれは私じゃない、私として、

彼らの事を、信じる事は出来ないし今後、誰かを信用することも無い


けど、今だけは馴染んでいたい

知らぬが仏とはよく言ったもので。

知らなければここは暖かい街で人気の美味しい美味しいパン屋なのだから。
そんな店を作った4人も、また素敵な人なのだから。











pi 「だ、だいじょーぶ！？！？休む！？」
いかんいかん、ぼーっとしてしまった…
心配そうに顔を覗かせるぺいんとさんに
『大丈夫ですよ〜もうひと踏ん張りです』
そう笑って今日もまた大きな声で


『いらっしゃいませー！！』と声を張り上げた。



















ー
sni 「僕も休憩入るからAちゃんも休憩はいろー」
としにーさんから呼び掛けがかかる

それを合図にエプロンを脱ぎ
今日修行用に焼いたパンと空き時間で作ったシチューを出す


sni 「上手になったね!!有能過ぎて僕の立場…笑」


なんて懐かしい台詞

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