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そうだ、こんなものもう必要ないのだから燃やしてしまおう。
そう思い立ったのはここにいる時間があと一週間になった日だった。
思い立ったが吉日。
私は数十冊にも及ぶ書きためたノートや必至に勉強した軍に必要な知識、幹部様の好みや仕事で失敗したことの改善点をまとめた私の努力の結晶であるノートたちをせっせと焼却炉へ運んでいる。
部屋に溜まったそれはかなりの量になっていて何往復かしてやっと全てを運び終えた。
sha「なにしてんの?」
「あ...シャオロン様」
燃やすものと考えて、たまに使っていたタバコのライターを取ってきていた私は焼却炉の前でしゃがみ、私のノートをペラペラとめくっていたシャオロン様に出会った。
sha「これ、日記?
燃やしちゃってええやつなん」
「ええ、もう要らないものなので処分してしまおうかと」
よかった。
アレは見られていないみたい。
補佐の私にとっては大切な食の好みや仕事を進めるタイミングを細かくメモしたノート。
それは普通の人から見たら監視されているみたいであまりいい気持ちがしないだろう。
シャオロン様がふーん、と興味なさげに落としたノートはどうやら私がその日に行った業務に、気になった点などをまとめておいたトントン様への報告用のノートだったらしい。
何故かまだ少し離れたところにいるシャオロン様を気にしないようにせっせと焼却炉に本を入れていく。
sha「...手伝おうか?」
「え、いえ、このようなことでお手を煩わせるわけには行きませんので」
sha「...ふぅーん、別にええのに」
どうやら、手伝ってくれるつもりで側にいたらしいですね。
そういえばと本をここまで運んでいるときにもシャオロン様らしき姿をお見かけしたような気がしたと思い出す。
もしかして、あの時から手伝いを言い出そうと悩んで待っていらした?
ふとそんな考えに至って、いやそんなはずないとはっきり否定できない。
私はシャオロン様が嫌いではなかった。
彼から吐き出される煽りや罵倒は的確に心を抉ってくるものの、間違ったことを言っていないから傷つくが受け入れられる言葉。
ただ、執拗に傷を抉ってくるから痛みは増すが、言いながら彼はしまったという後悔の色がよく目にでる。
そしてあとで必ず謝ってきたり、さりげなくこうやって気を使ってきたりするのだ。
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カピバラ(プロフ) - これ俺の勘違いなら凄く恥ずかしくなるな...なんかすいませんでした (2019年6月12日 18時) (レス) id: 7f83943664 (このIDを非表示/違反報告)
カピバラ(プロフ) - 名無しさん» (((;゜Д゜))まてまてまて、ちょ、その言い方だと俺の予想した考察よりかなり胸糞な内容になっちまうじゃねえかヤメロ!...そ、そんなのあるわけないよね、ガタガタ、やそれもありえるかも知れねえから否定できんが、あと普通にすごく面白かったです応援してます! (2019年6月12日 18時) (レス) id: 7f83943664 (このIDを非表示/違反報告)
透明玄師(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます!もしよかったら、どんなことでもいいので想像した答えを書いていただけると嬉しいです!他の方から何かあれば私の責任で消すので、お気になさらず是非!! (2019年4月10日 22時) (レス) id: 9aba64d5b7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 言い忘れてました!面白かったです! (2019年4月10日 17時) (レス) id: c69dbdc5f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 気がついちゃいました。相手が誰なのかが気になります。これで見当違いだったら恥ずかしいですけど...。ネタバレに捉えられてしまうなら、返信して貰えたら消します。 (2019年4月10日 17時) (レス) id: c69dbdc5f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透明玄師 | 作成日時:2019年1月13日 2時