Text.7 - Cause of worry does not grow up in front of the master ページ7
「結構しんどいんですよ……？寝覚めがいいとは言えませんし……」
人が死ぬ夢なんてそう頻繁に見たくないものだ。出来れば見ないようにする手段を探りたい。
だからこそ、FPSの話題で親交を深めたマスターに意見を仰いでいる。
有給のくだりからファミレスの末路まで脱線させた私も悪かったが。
「リアルの出来事が夢に出やすい体質なんだろ、夢を見るのは記憶の取捨選択してるってことだし」
「でも他の夢はほとんど覚えてないんですよ、FPS以外のゲームもやってるのに」
以前はせいぜい三ヶ月に一度出るかどうかというレベルだった。
FPSを始めてからは、一ヶ月に一度出るか出ないか。
同じ夢を見る頻度としては多いと思うが、FPSの影響だろうとさして気にしていなかった。
それが今では、週一。
忘れる間も無く思い出す。
まるで記憶に擦り込むように。
「……よし！この後上がったら久々にマルチするか」
「流れおかしくないですか!?」
「ほら、ショック療法的な？最近シングルしかやってないんでしょ？」
「確かにキャンペーンクリアしそうですけど」
「思いのほかやりすぎぃ！」
マスターと組んでチームデスマッチする分には戦績もそれなりだが、あいにく私は支援向き。対人戦にソロで入る勇気は無い。
「一人寂しくやってるからよけいに息が詰まるんだろ。所詮ゲームなんだから、もう少し気抜いてやれって」
「……そうですね、頑張ります」
どう頑張ればいいかはわからないーむしろ頑張っちゃけない気もするーが、内心巣食っていた不安は少し払拭できた。
素直に感謝の意を述べると、相談に乗るのもマスターの仕事だとさらり。
この人は楽観的なだけでなく、大人の気概もしっかり持ち合わせているから尊敬できる。
「そしたら先に帰って準備しといてくれ。片付け終わり次第連絡するから」
了承して頷き、エプロンを外す。
夢のことはまだ解決の兆しも見えないままだが、悩むだけでは進歩もないと前向きに考える。
何より、久しぶりにマスターとゲームができるのだ。すでに楽しみにしてる自分がいる。
何の武器使おうかな。
口角が上がるのを抑えながら、帰り支度をするためスタッフルームへと向かった。
※
１０話くらいまでメインディッシュは出ない。耐えてくだしあ。
Text.8 - While I play a game, passage of time becomes fast→←Text.6 - The strategist who acts secretly
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作者名：桜音風湊 | 作成日時：2018年4月26日 21時
