西山さん ページ23
『きょ……今日は私、川西さんだから！！』
「────────太一っ！」
「……へ？グホォッ！」
綺麗な、でもいつもより余裕のなさそうな、そんな声。俺の好きな子が、俺に向けた声。
それが頭の中を占領する。現実味がなくて、なんとなくふわふわしてしまって。
……まぁね、部活中にそんな集中しきれてない状態だったからバチが当たったんだろうね。強制的に現実に引き戻されたわ。
Aさんのじゃない声が、切羽詰まったように俺の名前を叫んだ。
何事だ？てか白布の声じゃーん☆とか思う間も無く、我に返った瞬間ボールが顔面にクリーンヒットしたわ。
「わー！川西さんすいません！大丈夫ですか⁉」
「太一生きてる〜？」
簡単に今の状況を説明しよう。
部活ナウ、さらに言えばミニゲームをしていて、俺はその試合には出ないので休憩且つ瞑想していた、と。
そこに五色のスーパーストレートホームランが飛んできたというね。
あぁ、遠くから監督の怒号が響く……嫌だよう、怒られるの怖い。
いやでもね、五色は悪くないよ。ぼーっとしてた俺が悪いんだ、頼むからそんな泣きそうな目をしないで切ない。
「いや、五色大丈夫だから」
「でっ！鼻っ！川っ……」
「『でも！鼻血出てますよ、川西さん！』だったさ〜。太一本当に鼻血出てるヨ？」
「あ、それはあんま大丈夫じゃねえっスね」
天童さんナイス翻訳。
確かに鼻を触るとヌメッとした嫌な感触がした。うえっ、気持ち悪い。てか結構盛大に鼻血出てるぞこれ……
「お前、とりあえず端に行くぞ。俺もちょうど入れ替えだから付き合え」
「おー、サンキュ白布……」
そしてとりあえず謝り倒す五色を宥め、休憩に入ったという白布と端によけた。
白布はしばらくして保冷剤とティッシュを持ってきてくれた。サンキュースパダリ。
「大丈夫か？」
「多分……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花見っ子(プロフ) - 黒アゲハさん» 嬉しい！あざす！！ (2020年12月6日 23時) (
レス) id: 20bc02c642 (このIDを非表示/違反報告)
黒アゲハ - 最高！！です！！(語彙力低下) (2020年3月8日 11時) (レス) id: e50eb8517a (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - 柚子胡椒さん» コメントありがとうございます。おかげさまで完結です……読んでくれて嬉しいです。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
柚子胡椒 - 太一ッッ！！！もう、やばい。ヤバい(語彙力) こういう話大好きです！更新お疲れさまでした！もう、文章が綺麗すぎて…自分の名前出てきた時はハウッてなりましたね。はい。夢主ちゃんと太一可愛すぎて…白布が苦労するのも分かるわ…(笑) (2019年3月29日 22時) (レス) id: 28791102e9 (このIDを非表示/違反報告)
花見っ子(プロフ) - Zeroさん» コメント感謝です。太一素敵ですよね…… (2019年2月10日 14時) (レス) id: e5466e3cbf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花見っ子 | 作成日時：2018年9月15日 21時
