今日は何さんですか？【川西太一】

近藤さん ページ11

そうそう、最近気付いた……っていうか思ったんだけどさ？

多分Aさん、忘れ物多いんだよね。

最初に会った時は “ 相田さん ” でしょ？それ頼りに考えてたのに、気付けば知らない苗字のもの所持してるし。

それなら名前が確定できないのにも納得がいく。



「たーいーちーくーん、おはよ！」

「Aさん、おはよ。体育なんだ？」

「そう！１限からとか最悪だよ」



とかなんとか思ってた今日この頃。

なんかデジャヴな光景で、１限授業の始まる前の廊下で体操着姿のAさんに会った。

チラァっと名前の刺繍を見ると、今回は近藤さんということで。

いやぁ、毎度毎度バリエーション豊富だなぁ。

……てかね、Aさんが小柄なのもあるんだけどさ、その体操着デカくね？確実に借り物だよね？……もしかして彼ジャーってやつ？

その場合、俺詰んでね？



「ちょっとA！人のジャージ取らないでよ！忘れたのあんたでしょ！！」

「げっ！もう来たか……太一君バイバイ！」



初めて会ってから大分時間は経って、まさに冬に差しかかろうとしている時期。

そんな中、半袖の体操着で鬼神の如く走ってくる女の子。その子を見た途端、Aさんは走っていった。

半袖の子は女子にしては背が高く、スラーっとしていて。まぁ俺の方が高いんだけど。

同様に名前の刺繍を見ると、半袖体操着の胸元には “ 近藤 ” とあった……この子がさっきのジャージの持ち主か。



「……ッシャ」



彼氏フラグ回避ー！

騒がしい廊下で小さくガッツポーズをした。

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