これが恋ではないのなら、【国見英】

《２４》 ページ31

あり手に言えばそうなのだ。

現状をわかりやすく要約すると、その通り。

俺の身勝手で、あいつにとっては嫌われた事になっている。勿論今までのことも含めて。



「……ねえ、本当はわかってるでしょ」



月島が黙る俺に静かに話しかける。



「Aさんがどう答えるかは知らないけど、このまま誤解させたままなら、もっと彼女は傷つけられる事になるんだよ。勿論君の存在のせいでね」



そりゃそうだ。守るために離れてても、今のままでは、誤解したままなら。あいつにとっては「嫌われてるから避けられてる」という最悪な認識になる。

それできっと、今まで以上に穴が開く。



「それって、今君が怖がってる事なんじゃない？守るつもりで傷つけるんだから」



ああ、怖いよ。すごい怖い。

またあの日(・・・)みたいな事を繰り返したら。

またあいつを泣かせるようなことがあったら。

思うだけで怖い。

だってあいつは、何も悪くないのに。



「どこまでが君の本心かは知らないし、所詮僕らはどんなにAさんに頼られようとも部外者である事には変わりない。でも今のままが良くないことなんて一目瞭然。Aさんにとっても、君にとっても」



本当は、わかってる。

あいつを傷付けたくないなら、今俺がするべきなのは、関わらないようにすることじゃなくて。


「この先君らに何があるかなんて、到底知り得ない。でもせめて、」






「過去(・・)の精算くらいしといたら？」

「……うん、そーする」



ただ単純な答え。今まで何とかして目を背けていた答え。人に言われて仕舞えば終いだ。

力なく笑った。なんだか脱力してしまった。

そんな俺を見て月島は

「あーあ、やっとか」

とでも言いたげな表情でため息をついた。

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