【オリジナル】作詞してみました。

「微笑む死神」 ページ5

「微笑む死神」



ショッピングモールの食品売り場に響く声を聴きながら
舌打ちをして立ち去る婦人 それを見て微笑む私
浮かべた笑みは黒くて 長い前髪に隠された瞳が光る
泣き喚く子供をなだめようともしない母親と
嫌悪の目を向けていく買い物客
やっぱり人間はどこか冷たくて息苦しいと
スマートフォン片手にそこから姿を消した私

他人がかける迷惑を睨んで 自分がかける迷惑から目を背ける
そんな人間をふるいにかけて一人微笑う
私は死神 それが正しいと呟いて目を閉じた


バスの車内を走り回る子供たちの声が聴こえる
ため息をつく会社員の隣 イヤホンを外した私
目をそちらへ向けながら マスクの下で唇を吊り上げる
「あのおじさんに怒られるよ」と大声を出す母親
指差された男性が顔をしかめる
やっぱり人間は嫌悪し合って生きづらいと
イヤホンを耳に戻しながらバスを降りた私

自分がかける迷惑の処理を 他人に押し付けて知らぬ顔する
そんな人間を見下したように一人微笑う
私は死神 自嘲するように呟いて倒れ込む


霞に覆われていく光が眩しくて目を細めた
突き刺すように降り注ぐ陽光 暖かさが熱さへと変わる
苦しくて怖くて 焼けて消えてしまいそうで
それでも私は微笑む
私は死神 そう信じていないと壊れてしまう弱い人間だから……

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