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約10分弱の演奏を終え、静かに振り返ると、
棒立ちの役員７名。
感極まって鼻水垂らして泣いている王さん。
腕を組んでドヤ顔のヒラリー氏。
『・・・。』
流れる沈黙が気まずくなり、声を出そうとした瞬間。
「〜〜〜〜！！！！！」
王さんがAくんに抱きついてきました。
『おふっ…』
何を言っているかは分かりませんが、気に入ってもらえた様子。
慌ててヒラリーさんが引き離し、ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。
彼女は「アンコール！アンコール！」と人差し指を立てて強請ってきます。
結論から述べると、
計5回ほど”亡き王女のためのパヴァーヌ”を演奏したAくん。
『はぁ〜〜〜〜〜〜〜…。』
さすがにお疲れの様子。
「最後に違う曲、弾いてみてよ、ほら自分で作曲したのとかあるでしょ。」
飽き飽きしていた役員の内の１人がそう促します。
『じゃあ……最新曲を』
〜♪
弾き終わると、先程とは打って変わって難しい表情を浮かべる王さん。
王「…この曲のタイトルは？」
『……まだ決まってませんけど』
王「なら今つけて」
『……えぇ』
王「早く」
『じゃあ……で。』
王「そう、分かった。」
選曲ミスったかな？と心配しましたが、杞憂でした。
曲目、衣装、会場、日程。
話は文字通り、トントン拍子。
ついにAくんの中国公演が決まりました。
自分の公演、自分が主役なはずなのに、
この会議では、
なぜか自分だけが蚊帳の外のような感覚でした。
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作者名：こぐま | 作成日時：2018年11月1日 22時
