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◇お国の幹部様 ページ5

次の日。
「Aちゃん。お給料、振り込んどいたからね!」
『おかみさん、ありがとうございます』
「よく働いてくれるから助かるよ」

そんな会話をしていた時、表からきゃあきゃあと黄色い声が上がった。

『なんです?』
「お国の幹部様が視察にいらしたんだよ、ほらあそこ」

目線の先には、金髪のサッカー選手みたいな格好の男性と紺色のスーツをきたメガネの男性が立っていた。

『あの金色の髪のお方と、スーツのお方ですか?』
「そう、コネシマ様と鬱様よ」

時々ラジオで流れてくるお名前としてしか知らないが、国の幹部ということはめちゃくちゃ偉い人なのだろう。
そしてこの人気。凄いな。

「こんな国の端っこまで来て下さるんだから、ありがたいねえ」
「それにしても、急にどうしたんだろうな。後ろのデカいのは荷物だろう」
「何だか胸騒ぎがするねえ」

隣の雑貨屋の店主とそのまた隣の魚屋のおかみさんとで話をしているのを小耳に挟んだ。


その日の夜。コンコンと扉を叩く音がした。
表に出ると町長さんだった。後ろには良くしてくださる八百屋や魚屋の店主さんたちだ。
「こんばんは、Aさん、急にすまないね」
『いえ、いかがしましたか』
「今日、幹部様がいらしてたのを知ってるかね」
『はい、存じております』
「もうすぐ隣国と戦争になるとのことだ。ここは隣国との国境に近いからね。支援物資を持ってきてくださったんだよ」

これがAちゃんの分だよ、と店主さんたちがドサドサ置いていく。魚や肉、野菜だけじゃなく、保存食やらなんやらが玄関先に積まれた。

「巣ごもりになるだろうけれど、大丈夫かい?」
「もし、なんかありゃ戸を叩きにくりゃいいからな?」
「町まで出るのが怖けりゃ家にでも泊めてやれるからな」

最後まで優しい言葉をかけながら「気ぃつけろよ」と帰って行った。

戦争。
この世界には戦争があるらしい。
元の世界では全く縁のなかった戦争。

その日から巣ごもり生活が始まった。
家につけられた固定電話で、食堂のおかみさんや仲良くしてくれている花屋のお姉さん、靴屋のおばちゃんたちと近況報告をするようになった。

「大丈夫、幹部様はお強いの」
「幾度となく戦争はあったけれど、うちの国は強いのよ」
「負けたことなんて1度もないんだから」

そう口々に言っていた。

情報源はラジオ。
今までは本当にラジオ番組のようなものだったが、戦争が始まってからは一変して近況報告となった。
異世界の現実なんだ、と不安に駆られた。

◇突然の訪問者→←◇1ヶ月の努力



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作品ジャンル:ファンタジー
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます!続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ツイッタとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します!僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか!?こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです! (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スンドゥブ左衛門 | 作成日時:2022年6月14日 15時

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