【d!】人気作家の異世界生活【軍パロ】

◇１ヶ月の努力 ページ4

この場所に来て１ヶ月。とにかく情報集めに必死だった。

近くを通り掛かった現地の方にそれとなく話をしたら、どうやら遠国から亡命してきたものだと思われたらしい。近くの町まで案内してもらい、様々な店や物を教えてもらった。
亡命ということは物騒な世界？なのか？とも思ったがその様子は見受けられなかったので安心している。

そしてとある雑貨屋にあった大きな地図をみて驚愕した。
日本どころか世界地図の片鱗もない全く別の地形だったのだ。
どうやら今いるここは私の世界とは違う、いわゆる異世界というものなのではないかと仮説を立てた。試しにここの国名を聞いてみればω国とのことだった。どこだよ。

幸運なことに小さな食堂で働き手を募集していたので身寄りのない亡命者(設定)の私だが、職を手に入れることが出来た。

どうやら家ごと吹っ飛んできたらしく、私の家はほとんどそのままの姿だったが、無くなったものが2つあった。
まずはスマートフォン。そしてテレビだ。
情報は基本的にラジオで得るらしいこの世界、食堂の店主から格安でラジオを譲り受けた。一応天引き。

文字は規則性のあるだろう事だけしか分からなかったが読める。読めるのだ。どの文字が何を意味しているかが分からないから書けないけれど翻訳機でもついているかの如く読める。今まで読めなかったフランス語の画集の解説やドイツ語の説明書もスラスラ読める。一種のチートかもしれない。
相変わらず書く文字は日本語しか無理だけれど、少なくとも異世界含め数ヶ国分の文字は読めるだなんて魔法か？魔法なのか？

その面では不自由しないように、文字をかけるようになるところからのスタートだなと思っていたが、如何せん識字率が低いこともこの1ヶ月で分かったのでおいおいやろうと決めた。
識字率が低いこともあってか、紙やペンの普及があまり多くないようだったので、大事に使わねば。


電気水ガスなどのライフラインは普通に使えるらしい。
今までの通帳や銀行口座はなぜか全てひとつにまとめられていて、使えるようになっていた。改めて見ると怖い金額である。印税怖い。
どうやらこの国では銀行の種類がひとつらしいこともわかった。だからまとめられていたのだろう。

通貨単位は違うものの、野菜やお肉、物の物価はそう日本と変わりなくて安心した。これでユーロ基準とかだと訳分からなくて倒れるところだったと思う。

そんなこんなで過ごしていたら１ヶ月経った。
だいぶ馴染んだのでは無いかと思うが、果たして。
そう思いながら明日の出勤を楽しみにしている自分がいた。

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