◇薄暗い尋問 ページ19
窓もない薄暗い牢は底冷えする。
その寒さによって目が覚めたが、今の時間すらわからない。
ザリザリと引きずりながらどうに身体を動かして冷たいコンクリートの壁に寄りかかった。
どうなってしまうのだろうか。全くもって先の見えない恐怖感が精神を蝕んでいるのがわかる。
昨日は年甲斐もなく泣いてしまったが、こんな状況なのだから許して欲しい。
ギィ、と深い音を立てて開いた重そうな扉から軍服を着たひとりの男が顔を出した。
「起きたか。変な事せずに待っとけよ」
そう言われて、首を縦にふった。
ふん、と鼻を鳴らして出ていった彼の軍服は、家で見たβ国らしい軍人さんのものとは違っていた。でもβ国じゃないという確証はない。ここは、一体どこなんだろう。ω国なら助けてもらえるのかな。無理なのかな。うーん。
自分がなぜ捕まったのかすら分からない。何も悪いことはしていない、と思う。私の知らない特有の文化みたいなのがあったりしたのかな…。
また不快音を立てて開いた扉から来たのは、昨日見た男性たちだった。
「昨日ぶりやね、お嬢さん」
ひとりはモスグリーンの軍服に赤いトルコ帽、糸目に茶髪、綺麗な顔立ち。
「Aさん、だっけ」
もうひとりは白の軍服に白の軍帽、赤くバツ印の書かれたマスクに眼鏡。黒目黒髪。
どちらからも、ものすごい圧を感じる。
「じゃあ、早速やけど、質問に答えてな？」
『…はい』
思わず正座をしてしまう。目をそらすことさえ許されなさそうだ。
「どっから来たん」
『…遠方から』
「ふぅん、いつからあの森に住んどったん？」
『…1ヶ月半ほど前からです』
「1人で？」
『はい』
当たり障りのない事をゆっくり淡々と聞かれて答えるだけ。
結構な量の質問を何とか答えて、目の前の彼がふうと息をついたのが分かった。
「んで、お嬢さんはどこの人なん？」
言葉に詰まった。どこの人かなんて分からない。
まさか、異世界人ですとも言えない。
お世話になっていたのはω国だけれど、国籍がある訳でもない。
第一、ここがω国であるという確証がない。他の国だったらどうなる？恐ろしい未来しか考えられなかった。
『…………
「ふぅん、あそ」
糸目がスっと開いて冷たい目線が降り注いでいるのが分かる。怖い。
「ま、今日はこの辺にしとこか。また明日な」
"覚悟しときや"
今までとは違う、低い声でそう告げるとふたりは牢から出て去っていった。
この尋問の中でついたひとつの嘘は簡単に見破られたのだ。だから忠告したのだろう。明日は容赦しない、と。
恐怖のあまり、運ばれてきた食事どころか水さえも喉を通らなかった。
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ーーー - 好きです (3月13日 4時) (
レス) @page35 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しい作品ありがとうございます！続きも楽しみにしてます。 (2023年3月27日 10時) (レス) id: 26248b9bea (このIDを非表示/違反報告)
なな - お米様抱っこ好きですw (2022年10月15日 21時) (レス) @page28 id: 7cadbb1f0e (このIDを非表示/違反報告)
スンドゥブ左衛門(プロフ) - 無名さんさん» お返事遅くなりました。どちらに掲載したのか等をお教えいただけるのでしたら、是非お願い致します。ﾂｲｯﾀとかでご連絡頂けると助かります。 (2022年8月7日 8時) (レス) id: 2b12ea7bfc (このIDを非表示/違反報告)
無名さん - 失礼します！僕今、おすすめの作品を紹介していて、作者様のお名前と作品を出してもよろしいですか！？こちらの作品僕大好きでして…ぜひ紹介したいんです！ (2022年8月6日 11時) (レス) @page35 id: ea8e66f22c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スンドゥブ左衛門 | 作成日時：2022年6月14日 15時
