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Aside












北人「ちょっと乾かして」







ドライヤーを片手に、上裸で見下ろしてくる北人くんの前髪から
一生滴り落ちてくる雫が私の太ももを濡らす

……部屋着に着替えたばっかなのに







「あぁもうほんと迷惑、そこ立たれるとテレビも見れない」


北人「この吉野北人にそんな口利けるのAくらいだよ」







なんて訳の分からない事を呟きながら
ソファに座る私の足の間に堂々と腰を下ろした北人くん

なるほどなるほど、私に拒否権ないわけだ







北人「早く早く。風邪引いちゃう」







仕方なくドライヤーを受け取り、視線はテレビ画面に向けたまま
北人くんの柔らかい髪に指を通していく

その度にふわっと鼻を掠めるのは私と同じシャンプーの香り







「……あの、シャンプーどっち使いました?」


北人「ピンクの方」


「ねぇ〜それ高いやつ。来客用のも置いてあったでしょ」


北人「そうケチケチすんなよ俺らの仲じゃん」







振り返り、あざとい満面の笑みで私の肩を叩いてくる
この反応を見る限り恐らく確信犯







「紅茶でも淹れよっかな」


北人「寝れなくなっちゃうよ」







まぁ寝かせないけどね、なんて古臭い単語を吐くと
両手首を掴まれそのままソファの背もたれに固定される

伏し目がちに近付いてくる未だ上裸の北人くんのお顔







「っ…ま、って、やだ、」


北人「やなの?じゃあやめる?」







こういう状況で女が言う " やだ " は基本 " GO "


それを分かり切った上でいちいち聞いてくるこの人は
嫌になるほど慣れてるし、とことんずるい男だ

どうする?なんて追い討ちをかけられれば無意識に口が動いていた







「……北人くんがほしいです、」


北人「ん、かぁわい」







羞恥心から目を瞑れば、優しく唇が重ねられた







.

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作者名:u | 作成日時:2021年9月4日 16時

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