不味い私を食べて下さい。【鬼滅の刃】

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冨岡Side



女が倒れたかと思えば、木からふわりと蝶が降りてきた。

「冨岡さん何遊んでるんですかー？」


手にはスプレー缶のような物を持って、こちらに寄って来る。




「……気化した毒を使うな。
俺が倒れていたらお前は運べないだろう」

「毒じゃありません、眠り薬ですよ。

それに大丈夫です、富岡さんは倒ていたとしても放置するつもりだったので！」


言い返そうとしたが、口ではこいつに勝てないと分かっている俺は口をつぐんだ。

相手にする必要はない。




「この方何者なんでしょうかね？
まぁ剣術は素晴らしかったですけど、手こずりすぎではないでしょうか。

しかし弱者扱いされている富岡さんを見るのは初めての事なので面白かったですよ〜」


『黙れ』

「あれ？怒ってます？
でも安心してください、実際の実力は富岡さんのが上ですよ。

左右のバランスの取り方が少し不安定でしたし」


違う。



「持ち替えていた」

「え？」
　


「この女は"刀一本"で戦っていたが、
本来は"二刀流"だ。

だから刀を片手にしか握っていない状態では軸がぶれていたんだ。

左右の刀捌きはどちらが利き手と言われてもおかしくないレベル、そして_」




気を失っている女の羽織をめくる。





「もう一本の日輪刀…」


「この女は本気を出していない」


しかし、





　






「俺に対する殺意は本物だった」
　

最後の刀の振り、

あれは確実に俺の首を狙っていた。



「……とりあえず、この方を連れて帰りましょう。他のみなさんにも相談すべきかと。

何者であれ一般人の帯刀は法を反しています。

逮捕という形で身柄を拘束しておきましょう」



それには俺も賛成だ。





しかし、気になる。


殺意がある者が、何故あのように何かにすがるような目をしていたのか。


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