おいでエリンギ

44、なんちゃって！ ページ44

このくらいで溜飲が下がるならまあ良いやと思い、矛を収めた。(もちろん手は洗った。)

空を見ると、もう暗くなり始めていて、ああ随分と練習したのだなと実感したら、急にお腹がすいてきた。ぐう、と腹の虫が鳴って、それがさらに空腹を際立たせる。

「どこかでなんか食べてくか？」
「そうですねー。お腹すきました。」
「ラーメンで良い？」

最近あそこのラーメン屋さん行ってなかったよな、とエスカバ先輩が続ける。

「すみません、お昼に行っちゃいました。」
「んだよ。じゃあ、駅向こうのインドカレーな。」

というと、本格インドカレーの華麗deカリーか。300種類以上のスパイスを16時間コトコト煮込んだ看板メニュー、スッペシャルカレーはガツンとしたスパイスの裏に繊細な野菜のコクがあって、想像しただけでよだれがじゅるり。

「あーなんかもう口の中がカレーです。」
「やばいなそれ。」

美味しいカレーを頂いて、帰った後、お母さんが作ってくれた夕飯もがっつり食べた私は、さすがに食生活がデブすぎる。これじゃあ風子ちゃんのことを言えない。良いんだ良いんだ、野菜も食べているから。

その風子ちゃんからの連絡には、案の定、私の明日の業務は大会のビデオ撮影だとあった。
また西蔭さんに会っちゃったりして。

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