おいでエリンギ

43、使い心地はさして良くないミストレ先輩タオル(1/7ちょっと変えました) ページ43

目標の50本が終わり、休憩のためにベンチに座る。冷たいスポドリで喉を潤わせていると、エスカバ先輩が隣にどかっと座った。

「エスカバ先輩汗飛んだんですけど。ついたんですけど。ちゃんと拭いてください。」
「へいへい。俺の鞄からタオルとって。」

鞄をゴソゴソやって、エスカバ先輩のタオルを取りだす。

「なんで公式グッズのミストレタオル持ってるんですか、ウケる。」

それで汗を拭くと、ミストレ先輩が嫌がって面白いらしい。なんだ、嫌がらせか。私も買おうかな、ミストレ先輩のタオル。

「つーか、なんか話したいことがあったんじゃなかったか？」

タオルで顔を拭きながらエスカバ先輩が言う。うわ、ミストレ先輩(タオル)が汗にまみれてる。

「あ、はい。白兎屋さんの連携についての話なんですけど。」

応援団のうちわの向きで選手に指示を出してるのと、応援団への指示は監督が出していることを説明する。

「そんくらいは俺もわかってる。」

映像で見ただけだがわかってる、と、ちょっとドヤ顔をする先輩。

「張り合ってこないでくださいよ。私が気づいたのはどうせたまたまですから。」
「で、そのサインが理解不能、ってことだろ？」
「そうです。先輩はどうやってるかわかりますか？」

私が聞くと、エスカバ先輩は眉根を寄せ口をへの字にした。わからないんだなー、と思った。

「悔しいが俺でもそれはわからん。実際に見てみねーと。次の白恋中の試合っていつだっけか？」
「明後日です。対雷門。纏向の試合の前日です。」

今から頼めば、大会の録画担当にしてもらえるかもしれない。そうでなくても私は、今大会での仕事分担は毎日試合の録画に回してもらう気満々である。結構前から頼んでおいたし。

「垣田先輩に頼んでみるわ。」
「お願いします。」

その後、必殺技の練習をして、エスカバ先輩はそれに付き合ってくれた。お陰で、私の必殺技も幾分か完成に近づいたと思う。

もともと代謝が良いのだろう、エスカバ先輩はめちゃめちゃ汗をかいていた。絞れそうだ。

ウェアがびったんびったんになってますよと指差し笑ったら、ちょいちょいと手招きで呼ばれる。なんすかと近づくと、無理やり握手される。ビッチョビチョの手汗に掌が覆われた。

「なんなんですか！最悪なんですけど！」

キレる私。ゲラゲラ笑う先輩。
これだからエスカバ先輩はあまり女性人気がないのだろう。

とは言え、私の練習に付き合ってくれてかいた汗なので、そんなに強くは言えない。

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