28、怒られまち ページ28
「ていうか最初、抱きつかれるのかと思って身構えた。」
必要なのは違う方面の身構えだった。どうしてくれるんだ、首が折れたら。
「ここでそれを言うのかよ。」
風子ちゃんは呆れたように言って、パッと手を離す。ゲホゲホと咳き込んだら背中をさすられた。
「風子ちゃん、心配かけてごめん。」
「いいよ、別に。」
「あと最近ミストレ先輩に似てきた。」
顔しか似たくねーよあの人には、と風子ちゃんは笑う。そんな、ミストレ先輩を顔だけの人間みたいに。私はサッカーの腕前も似たい。他は似たくない。
会場がざわざわしてきたと思ったら、しろうさぎ本舗のcmが始まっていた。出演しているのは、二年生の荒谷紺子さん。ぴょんぴょんぴょんって、うさぎの着ぐるみがとても可愛い。
両者整列が整列し始めると、風子ちゃんはビデオカメラを取り出し撮影を開始する。私は一昨日や昨日に引き続き、メモ帳を取り出して気になったところを箇条書き。
「あ。」
試合開始直前、自身のポジションにつく選手たちを見ながら風子ちゃんが言った。
「なんじゃい風子ちゃん。」
録画に音が入らないように、私は声を潜めて喋る。
「Aちゃんの推しがいないねって。」
推し？眉を寄せる私に、あの姫って可愛いピンクの毛のー、と風子ちゃんは説明。姫でわかった。でも別にまだ推しじゃない、顔が可愛いと思っているだけだ。
「白兎屋なえさんね。」
「そい。」
「大豆かよ。白兎屋さんは最近サッカー始めたばかりの初心者だからね、後半から出ると思う。」
風子ちゃんが大袈裟に首をまわし、初心者かよ？！と声をあげた。首を痛めそうだし動画がぶれそう。
「まってまって、いくらなんでも初心者で試合に出るか？白恋中って北海道の強豪なんでしょ？あれか、親の七光。」
「ところがどっこい。出るんだよ。白兎屋さんって足が速いんだよ。陸上の小学生記録持ってるんだって。」
纏向の敏腕マネジャー、情報弱者化か〜？ニヤニヤしながら肘鉄する。が、映像がぶれそうだと思いすぐにやめた。
白兎屋さんは最近入った新しいメンバーであるため、それを知らないからと言って風子ちゃんが情弱ということにはならない。
ほんのお戯れではあるけど、風子ちゃんはキレそうだ。もっとカルシウムとろう。
しかしながら意外や意外。それだけで試合に出られる足の速さ……と、風子ちゃんは弱者呼ばわりよりもそちらにショックを受けている様子。
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マトリックス(プロフ) - 飴子さん» コメントありがとうございます！二人の中学生感、私も気に入ってるのでめちゃめちゃ嬉しいです。 (2018年9月16日 18時) (
レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
飴子(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。テンポの良さと夢主ちゃんのキャラが痛快で、サクサク読んでしまいました。とても面白かったです！個人的に夢主ちゃんと風子ちゃんの中学生らしい会話が好きです。続きを楽しみにお待ちしてます。 (2018年9月15日 23時) (レス) id: e8d9f617ef (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - マトリックスさん» カッコいいですよ！！続き気になります。 (2018年8月30日 15時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
マトリックス(プロフ) - 速水ヒロcv前野智昭love♪さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけると嬉しいです！声優さんあまり詳しくないので、調べてみます〜 (2018年8月30日 12時) (レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 初めましてコメント失礼します。続き気になります。めっちゃ面白かったです。西蔭君の中の人もかっこいいですよね？更新頑張ってください (2018年8月29日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マトリックス | 作成日時：2018年8月21日 11時
