24、そして空気が一気に淀んだ ページ24
それにしても、西蔭さんは過保護にもほどがある。野坂さんって中学2年生だし、いくらなんでも転んで泣いてるみたいなことはないと思うけれど。サッカーをやっている以上、持病持ちなんてこともないだろうし。
西蔭さんって、この前もさっき見かけた時も野坂さんの半歩後ろを歩いていて、この二人の関係はどちらかと言うと、エスカバ先輩とその取り巻きに近いのではないだろうか。
西蔭さんの横顔を眺めていたら、不意にこっちに視線を落として来て、ばちんと目が合った。西蔭さんは首を傾げ、
「なんだ？」
と聞いてくる。私はと言うと、取り巻きだのなんだのはさすがに失礼すぎて言えないから、
「あっああ〜いやぁ、野坂さんと西蔭さんって、すごい仲良しの友達だなーって。」
「は？そういう風に見えるのか？」
目を見開いて、面食らった表情。ああ、なんか、普段無表情だからとんでもない違和感。
「馬鹿なことを言うな。俺は野坂さんをお支えする立場。」
「へえ。なんかよくわからないです、大人って感じ。」
「それは、お前が子供すぎなんだろ。」
ううん、なにも言い返せない。ほぼ一年違うだけで、こんなに差があるものなのか。
「そういや、携帯電話持ってますよね？一度連絡して見たらどうです？」
「もう何度も連絡はした。繋がらないんだ。」
「電話に出れないのか、出ないのか……逢い引きでしょうか？」
さっき野坂さん達を見かけた時の、エスカバ先輩の言葉を思い出して言った。
「野坂さんに限ってそんなわけないだろ。」
ちょっと嫌な顔をされてしまった。まずい、私はここでお気ににならないと行けない立場。いや、立場っていうか。とにかく、お近づきになりたいんだい。
「違うんです、先輩が言っていたんです！」と、慌てて弁解。
「先輩のせいにするなよ……。」
西蔭さんは、呆れたようにため息をついた。やばいな、他人に好かれるってかなり難しいぞ。
「ともあれ、一応もう一度電話して見るか。」
西蔭さんは携帯電話を耳に押し当てる。私のためにかは知らないが、スピーカーホンに切り替えてくれた。
プルルルル、プルルルル……無機質な呼び出し音を、真剣に聞く西蔭さん。3コール目で、音声が切り替わった。
「ただ今、電話に出ることができません。」
平坦な女性の声が無情だ。西蔭さんは黙って電話を切る。
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マトリックス(プロフ) - 飴子さん» コメントありがとうございます！二人の中学生感、私も気に入ってるのでめちゃめちゃ嬉しいです。 (2018年9月16日 18時) (
レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
飴子(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。テンポの良さと夢主ちゃんのキャラが痛快で、サクサク読んでしまいました。とても面白かったです！個人的に夢主ちゃんと風子ちゃんの中学生らしい会話が好きです。続きを楽しみにお待ちしてます。 (2018年9月15日 23時) (レス) id: e8d9f617ef (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - マトリックスさん» カッコいいですよ！！続き気になります。 (2018年8月30日 15時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
マトリックス(プロフ) - 速水ヒロcv前野智昭love♪さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけると嬉しいです！声優さんあまり詳しくないので、調べてみます〜 (2018年8月30日 12時) (レス) id: 5cf0ad2a55 (このIDを非表示/違反報告)
速水ヒロcv前野智昭love♪(プロフ) - 初めましてコメント失礼します。続き気になります。めっちゃ面白かったです。西蔭君の中の人もかっこいいですよね？更新頑張ってください (2018年8月29日 21時) (レス) id: 5e287a4c41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マトリックス | 作成日時：2018年8月21日 11時
