おいでエリンギ

16、闇抱えてんのか？ ページ16

まあ見つかっても怒られるのはエスカバ先輩だから別に良いけれど。怒られても良いなんて、どんな楽しいゲームをしているんだろうか。エスカバ先輩のことだから、戦略シュミレーションみたいな、頭のいい感じのものだと予想。

横から覗き込むと、カラフルな画面が見えた。

「何ですか、これ？」
「穴を動かして通行人とか建物を落とすゲームだ。」
「根暗っぽ。戦略シュミレーター的なの関係ありますか？」
「ねえよ、ゲームは娯楽のためにやるものだ。」
「そすか。」

エスカバ先輩は手慣れた様子で通行人や建物を穴に落としていく。さっきは根暗っぽいとか言ってしまったが、案外楽しそうだ。

「やってみるか、A？」
「えっ良いんですか？やりたいです。」

エスカバ先輩にスマートフォンを貸してもらい、ゲームをプレイする。結構難しくて、なかなかうまくいかない。

「ド下手クソじゃねえか。」
「これ難しくないですか？」
「小学生でもそれよりは上手くできるぞ。あれか、普段全然スマホを使わないからか。」

そうかもしれない。やっぱこういうゲームって慣れが大事だと思うから、だから私が小学生以下ってことはないんだい。

「そういえば、お手製うちわ持っている人結構いますね。」

纏向中サポーターは学校全体のものが多いけれど、個人個人のうちわだとミストレ先輩が圧倒的に女性人気。男性はバラバラだけどバダップ先輩が多いかもしれない。

「残念ですね、エスカバ先輩のものは無いようです。」
「だってそりゃ、試合出ないから。」

普段は結構、エスカバ先輩のもうちわとかタオルとか持っている人が多い。強いのと、サバサバした性格が男性に人気だ。

「私もうちわ作ろうかなあ。」
「誰の？」
「垣田先輩です。」
「好きだな。まあ良い人だけどさ。」

部長の垣田先輩は人格者で、同学年からも後輩からもしたわれている。

この後、2時間半くらいエスカバ先輩と部活のみんなを待った。エスカバ先輩は三年の先輩が来るギリギリにスマートフォンを鞄にしまい、くそ、勘のいい野郎だ、と思う。

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