おいでエリンギ

1、でっかいんだな ページ1

「ひえぇ……賑わってんなァ、いつ見ても。」

そしてスタジアムがでかい。フットボールフロンティア本戦の会場で、学生鞄を握りしめて呟いた。
いやあ、混んでる混んでる。予選の時より混んでるなあ、人がゴミのようだなあ。いや、それほどまでじゃねえよ。
セルフツッコミをいれてしまった。

一年前の、雷門中のほとんど奇跡みたいな優勝に少年サッカーは一躍人気になった。そんで、お偉方の「日本のサッカーをもっと強くしよう！」的な試みで、少年サッカーの制度も一変したらしい。私はよく知らないけれど。ちょっとやりすぎなんじゃない？ってふんわりと思ってるだけだ。何しろ数ヶ月前まで小学生だった身分である。

テレビの前で興奮しながら雷門の試合を観戦していたのは、もう一年前になるのかあ、って懐かしい気分にも浸ってしまう。

小学校六年生の私は、その雷門中の試合を見て、フットボールフロンティアで優勝することが夢になった。そこからサッカーの強豪の中学に行くことを決意したわけだけれども。

「だとしたら何故今こんなところにいるのだろうか……。」

必死に勉強して中学受験して望んだ学校に合格して、その現状に思わずぼやく。

私は今、フットボールフロンティアに出場していないし、そもそもベンチ入りもしていないのだ。

私が通っている学校自体は、フットボールフロンティア本戦への出場権を獲得している。第1試合は明日だ。
大会期間中は本番前の調整だということで、一軍のメンバー以外は練習に参加できず、強制的にマネジャー業。

だから私は試合を見にきた。視察のビデオ係も兼ねている。ちなみに昨日も来た。新生雷門中対世宇子中。アツアツでイケイケの試合だった。

勿論、ただ試合を楽しみに来ているというわけではないしチームのおつかいのためだけにわざわざ時間を割いているというわけでもない。そんな余裕は私にはない。

いいプレイを見ることは、自身の技術向上にも繋がると思ってのことだ。

まあまあ切羽詰まっている。だって当然試合には出たいよ。

2、ドヤ顔しちゃうぜ→

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