ただいま、先生《名前変換オリジナル短編》 (ページ6)

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６・先生、いや、あなたに出会えたのはページ6

幸いな事に先生……父は入院先の病院の名前を教えておいてくれた。
母にその病院の名前を告げるといつもより速いスピードで車を走らせた。

都心部から少し外れた大型病院。
母によると昔、私も軽い病気でここに入院した事があったらしい。
でも、幼い時の記憶すぎて、私は覚えていなかった。

駐車場が混み合っていて、中々止められ無かったけど、
やっとの事で駐車させる事ができた。

「行こう、A」
「うん」

私達２人は父が入院しているという病棟へと向かった。

何度か看護婦さんとすれ違ったけど、特になにも言われなかった。
そりゃそうか。
いろんな人がお見舞いに来るもんな。

そんな事を思っていると母が立ち止まった。

「ココみたいよ」

そう言われて見てみると確かに名前の欄には父の名前が書いてあった。
母は一度深く深呼吸をするとそのまま病室のドアを開けた。

そこにはベッドに寝ている父の姿があった。

「慎司さん」

母がそう声をかけるが返事が無い。

「あなたの子供、こんなに大きく成長したんですよ」

それでも反応が無い。
ふと母を見ると……泣いていた。
目から一筋の涙を流しながら泣いていた。
唇が震えている。

私はなんとなく父をみやった。
その時気が付いた。
何も返事をしなかったんじゃ無い。
……父も泣いていた。