42 うそつきと覚悟 ページ45
元に戻す。
(人2)が言う。
覚悟を決めた声だ。
いつになく険しい顔つきで、小さい体を震わせて。
小さいころから知った仲だ。今、彼女の気持ちが、なんとなく伝わってくる。
でも、(人2)……。
「どうして、そんな泣きそうな顔、するの？」
(人2)は驚いた顔で、首を横に振る。
泣いてなんかないよ、と言った、強がりな(人2)の声。
「うそつき」
「(人1)のほうこそ、うそつきだ」
「(人2)！」
____(人1)のほうこそ、うそつきだ。
その言葉をかき消すように、私は声を強めて言った(もちろん、今は夜中なのでボリュームは絞って)。
私はコロナ。心の中で言い聞かせる。
「(人1)、私、決めたの。……もう決めたの。私は私で、父さんのためになにかするって」
「…………」
「(人1)」
お願い、(人1)って呼ばないで。その名前で呼ばないで。
そう思いながらも、(人2)の言葉を拒めない。
「私には、ジェネシス計画に貢献することが、正しいとは思えない」
「だから、お父さんのために、私たちとは違う“なにか”をするっていうこと？」
(人2)がうなずく。
泣きそうな瞳をして、それでもここまで強く肯定できるんだ。
それが(人2)の決断。
「今晩、抜け出すの？」
「うん」
「ちゃんとした計画はあるの？ 誰かあてはあるの？ それと、持ち物準備した？ お金はいくらか持っていかなきゃ。それに____」
「ちょっと待って。その前にまず、聞きたいことがある」
「なに？」
「(人1)は、どうするの？」
「……言ったでしょ」
私は、(人2)、と名前を呼んだ。
(人2)は、(人2)であることを選んだ。並大抵でない覚悟を決めた。
それなら、彼女自身が望む名を呼ぶのが一番だ。
「私はコロナ。(人2)みたいには、なれない」
「…………」
「きみならうまくやれる。エイリア学園である私が言うのもなんけだど……。(人2)はみんなに愛されてる」
「なに言ってるの？ そんな言い方じゃ……(人1)……」
「あのね」
(人2)の声を遮る。
少し憤慨している彼女がなんだか微笑ましくて、ついつい頬が緩む。
小さい子に言い聞かすように、私はゆっくり語った。
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阿津(プロフ) - †びた†さん» あたたかいお言葉、ありがとうございます！力が出そうです。これからも更新は遅いと思いますが、頑張って仕上げていきます。 (2017年3月7日 23時) (
レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
†びた† - ゆっくり自分のペースでやっていただいておkですよ｡待ってます! (2016年8月6日 15時) (レス) id: eb2164e30c (このIDを非表示/違反報告)
阿津(プロフ) - ルミナさん» 遅くなってしまってすみません。わわー、コメントなどなど嬉しいです！ありがとうございます(･∀･*) (2014年11月28日 22時) (レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ(プロフ) - 設定が好きです。なんか、面白い設定だな〜っと よければ私の小説も^^ (2014年11月14日 0時) (レス) id: 96405fb6db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：阿津 | 作成日時：2014年6月17日 21時
