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｢先ほども申しましたように
私はずっと戯曲作家になりたかったのです。
ですが…我が置かれた立場で
そのようなことを言えるはずもなく…｣
｢当たり前だ！
お前は王子に次ぐ王位継承者なんだからな！｣
｢…そう、そして王の軍を統べる任を仰せつかった身。
軍人として与えられた職務は全うしてきたつもりですが
やはり夢は諦めきれず…｣
｢…ここでこうして執筆活動していた訳か？｣
｢はい…｣
改めて部屋を見回すと
中はきれいに片付けられていて
テーブルの上には新しい紙の束と
まだ何かを書きかけの紙とペンがあった。
｢あれ？お前、ペン持ってんじゃん。
ここにもペンてあるんだな。｣
｢王子、よくご存知ですね？
ペンなどという下賤の者しか使わないものを…｣
｢え？そうなの？
あ！だから城のどこ探してもなかったのか！｣
｢ゴホン！王子っ！！｣
ヤベ…つい……
Jは不思議そうにおれを見てるし
ショウはスゲェにらんでる…
｢…つ、つまりお前が今日大聖堂にいなかったのは
ここでコレを書いていたからなんだな？｣
｢はい…
今日の警護には特に精鋭を選りすぐり万全を期していました。
ですから私も安心してここにいられると思ったのです。
…が、捨てきれぬ夢のせいで
このような事態を招いてしまった……
職務を全うしてきたつもりが……申し訳ございません。｣
｢では王女を攫ったのはお前の差し金ではないと？｣
｢もちろんです！
私にはそんなことをする理由がない！
だいたい王女が攫われたというのはどういうことです？
一体何があったのですか？｣
｢式が始まってすぐ…
大聖堂で警護についていたMJ団に攫われたのだ。｣
｢MJ団……｣
｢お前の親衛隊なんだろ？｣
｢それが…そのような物があるらしいと
噂に聞いたことはあるのですが、あくまでも噂は噂。
馬鹿馬鹿しいと相手にしていませんでした…｣
｢ふん！白々しい…｣
｢ま、本人だけ知らないってこともあるかもな。｣
まだどこか不満そうなショウをうながして
今日起こった全てを話させると
Jの顔つきが急に引き締まって
あの中庭で見た時みたいな軍人の顔になった。
｢私にできることがあれば何なりとお命じください。
我が軍にはまだまだ精鋭達が揃っております！｣
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